4月からの新生活に合わせて、引っ越しをした人も多くいるでしょう。引っ越しにはトラブルがつきもので、搬送時に家具を壊されることもあります。
こういったトラブルを防ぐため、独立行政法人国民生活センターは、「引っ越しで家具に傷がついた!」と題した注意喚起を実例とともに公開しています。
この記事では、引っ越しで家具が壊された人の実例を基に、トラブルの回避方法などを解説します。
また記事中では、消費者庁による令和7年版「消費者白書」より、最新の「消費者被害の推計額」についてもご紹介します。
※投稿の画像は【写真】をご参照ください。
※今回ご紹介する内容は、独立行政法人国民生活センターの掲載許可を頂いております。
1. 引っ越しで家具を壊されてしまった実例を紹介
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ここからは、国民生活センターに寄せられたトラブル事例を紹介します。
「引っ越し後、テーブルに傷がついていることに気づきました。事業者に修理代を負担してほしいと伝えましたが、数週間経過していることを理由に断られました。家具の破損は、引っ越し後どのくらいの期間内に申し出る必要がありますか」
今回の相談は、引っ越しで家具を傷つけられたものの、修理代の負担を断られた事例です。
この相談に対して、国民生活センターでは以下のような回答をしています。
「引っ越しの契約では、現在多くの事業者が、国が定めた標準引越運送約款(以下、標準約款)を使用しており、一部の事業者は国土交通大臣の認可を得た事業者独自の約款を使用しています。
標準約款では、引っ越しによる家具の破損について消費者が申し出る期間は引っ越し荷物を受け取った日から3カ月以内とされています。約款の記載を確認し、もし事業者の対応が約款と異なることがあれば、早めに最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。
2. 事業者の責任は、引っ越し荷物を受け取った日から1年を経過すると消滅する
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さらに解説として、「引っ越しの契約には、国が定めた標準約款か国土交通大臣の認可を得た事業者独自の約款が使用され、引っ越しが原因で荷物が破損した際の対応を含め、契約内容は原則、契約した際の約款の記載に従うことになります」としています。
事業者の責任については、標準約款では引っ越し荷物の紛失・破損について、荷物の欠陥や天災など事業者が責任を免除される事由を定めたうえで、事業者が作業に落ち度がなかったことを証明できない場合は損害賠償責任を負うとされています。
また、荷物の一部紛失や破損の場合、利用者が事業者に申し出る期間は、引っ越し荷物を受け取った日から3カ月以内で、申し出がない場合は事業者の責任も3カ月でなくなります。
申し出があった場合の事業者の責任は、引っ越し荷物を受け取った日から1年を経過した時は時効により消滅するとされています。
(注)荷物の全部紛失や、事業者が荷物の損害を知っていながら荷物を引き渡した場合は、3カ月以内の申し出は不要です。また、事業者が荷物の損害を知っていて利用者に告げなかった場合には、1年の時効が適用されなくなります。
以上を踏まえて、次のページではトラブルを防ぐためのアドバイスを紹介します。
3. 引越し業者に家具を壊された場合のアドバイスを紹介
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引越し業者と家具破損などのトラブルを防ぐためには、自己防衛も必要だと国民生活センターはアドバイスしています。
引っ越しの梱包を行う際は、壊れやすい物は梱包材や新聞紙でしっかり包み、壊れやすい物とわかるように明記しましょう。
また、データが破損する可能性のある機器類については必ずバックアップを取っておくことが必要です。
そして、引っ越し作業日から時間がたつと、荷物の破損などの原因が引っ越し作業によるものかわからなくなる可能性があります。
作業終了後、速やかに荷物の紛失や破損、エアコンなど機器類の動作を確認し、問題があれば早急に事業者に連絡することが大切です。
壁や床の破損については、標準約款では引っ越し荷物以外の家屋の破損等についても、事業者が作業に落ち度がなかったことを証明できない場合は損害賠償責任を負うとされています。
引っ越し作業により床や壁が傷つけられた場合は、事業者に損害賠償を求めることができますが、原則は修理等による現状復旧の範囲での対応です。
引っ越し作業を行う前の部屋の状態を写真などで記録し、作業終了後、問題がないか速やかに確認しましょう。
時間がたつと傷の原因がわからなくなり、引っ越しによってついた傷であることの証明が難しくなります。引っ越しを行った後は、すぐに部屋や家具を確認するように心がけることが必要だとしています。
4. 2024年の消費者トラブルによる被害額は9兆円という結果に
日々消費活動を行うみなさんにとって、決して遭いたくないトラブルが「消費者トラブル」。
しかし、2025年6月に公表された令和7年版「消費者白書」によると、2024年の消費者被害の推計額(既支払額)は9兆円にのぼることがわかりました。
なお、2020年からの推移は下記のとおりです。
4.1 消費者被害・トラブル額の推計結果(既支払額・信用供与を含む。)
- 2020年:約3.6兆円
- 2021年:約5.6兆円
- 2022年:約6.0兆円
- 2023年:約7.9兆円
- 2024年:約9.0兆円
2024年の金額が近年最高額となっていることがわかりました。
なお、既支払額(信用供与を含む)ベースでの消費者被害・トラブル額の推定額は約9.0兆円ですが、この数字には誤差が含まれており、同基準の消費者被害・トラブル額は95%の確率で8.5~9.6兆円の幅の中にあると推定されています。
また推計結果の推移をみると、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による消費の落ち込みの影響が考えられる2020年の約3.6兆円を除いて、だいたい5兆円から6兆円で推移していました。しかし、近年は増加傾向にあることが見て取れます。
また、消費者被害・トラブル額の推計結果の算出方法には、新手法と旧手法の2種類があります。
同白書によると、「旧手法」では、消費者生活相談情報(PIO-NETデータ)に含まれる、1億円以上の極端に高額な案件も推計に含められていました。そのため、発生自体が稀な高額案件が、推計全体に実態以上に大きな影響を与える可能性がありました。
そこで「新手法」では、消費者被害・トラブル額の推計は、1億円未満のデータに基づき行うこととし、相談案件が1億円以上のトラブルについては、推計には含めず、件数と総額を推計値に併記する形を取っています。
この新しい手法により、ごく一部の極端なデータが推計全体に影響を与えることを防ぎ、また実態により即した推計となりました。
なお、旧手法による2024年の消費者被害の推計額(既支払額)は9.6兆円と、新手法よりも金額が多くなっていることがわかります。
いずれにしても、最新の数字で9兆円にのぼる莫大な金額が被害・トラブル額として推計されている現在、消費者庁は誇大広告や偽表示を行う通販業者への行政処分、SNS広告による詐欺的副業の注意喚起など、迅速な対応を取っています。
参考資料
LIMO編集部