老後の生活を支える重要な柱である公的年金について、ご自身が将来受け取れる金額を把握していますか。最新のデータによると、厚生年金の平均受給月額は約15万円、国民年金は5万円台となっています。
一方で、高齢者世帯の55.8%が日々の暮らしに「苦しい」と感じているという厳しい実態も明らかになっています。この記事では、公的年金の基本的な仕組みから、現在のシニア世代のリアルな生活事情まで、データを交えて分かりやすく解説します。
1. 公的年金の基本!国民年金と厚生年金の「2階建て構造」とは
日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2種類で構成されており、その仕組みはしばしば下の体系図のように「2階建て」構造に例えられます。
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出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成
1.1 1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」の仕組み
国民年金は、原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象となる、公的年金の基礎部分です。
年金保険料は全国共通で、毎年度見直しが行われます(※1)。40年間(480カ月)にわたって保険料をすべて納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取ることができます(※2)。
※1 国民年金保険料:2026年度月額は1万7920円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2026年度月額は7万608円
1.2 2階部分にあたる「厚生年金」の仕組み
厚生年金は、会社員や公務員のほか、特定の適用事業所(※3)で働くパートタイマーなど、一定の条件を満たす方が国民年金に上乗せして加入する制度です。
- 年金保険料(※4):給与水準に応じて決まる(上限あり)
- 老後の受給額:加入期間や納付した保険料額によって個人差がある
※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
「2階建て構造」で知られる日本の公的年金制度は、1階が「国民年金」、2階が「厚生年金」という構成です。それぞれ加入対象者や保険料の決定方法、将来受け取れる年金額などに大きな違いがあります。
1.3 2026年度における年金額の改定内容
公的年金の支給額は、毎年の賃金や物価の変動を反映して年度ごとに改定される仕組みです。
2026年度の年金額は、前年度と比較して国民年金が+1.9%、厚生年金が+2.0%の増額となりました。国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額7万608円(1人あたり)、厚生年金はモデル世帯(会社員の夫と国民年金のみの妻)の場合で月額23万7279円(夫婦合計)です。
ただし、実際に受け取れる年金額は、現役時代の年金加入状況によって一人ひとり異なります。
2. 【厚生年金】年齢別の平均受給月額一覧(60歳代~90歳以上)
現在のシニア世代は、実際にどのくらいの年金を受け取っているのでしょうか。
厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に、年齢別の平均年金月額を詳しく見ていきましょう。
はじめに、厚生年金(国民年金部分を含む)の平均受給月額から確認します。
2.1 厚生年金の平均月額:60歳代(60~69歳)の場合
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
※65歳未満の受給額には、特別支給の老齢厚生年金のうち、定額部分の支給開始年齢引き上げにより報酬比例部分のみを受け取っている方も含まれています。
2.2 厚生年金の平均月額:70歳代(70~79歳)の場合
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
2.3 厚生年金の平均月額:80歳代(80~89歳)の場合
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
2.4 厚生年金の平均月額:90歳以上の場合
- 90歳以上:16万4027円
年金の本来の受給開始年齢である65歳以降を見ると、厚生年金の平均受給月額は14万円台から16万円台で推移していることがわかります。
3. 【国民年金】年齢別の平均受給月額一覧(60歳代~90歳以上)
次に、国民年金(老齢基礎年金)について、年齢ごとの平均受給月額を確認していきましょう。
3.1 国民年金の平均月額:60歳代(60~69歳)の場合
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
※65歳未満で国民年金(老齢基礎年金)を受け取っている方は、繰上げ受給を選択した方です。
3.2 国民年金の平均月額:70歳代(70~79歳)の場合
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
3.3 国民年金の平均月額:80歳代(80~89歳)の場合
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
3.4 国民年金の平均月額:90歳以上の場合
- 90歳以上:5万5633円
65歳以降の方が受け取る国民年金(老齢基礎年金)の平均月額は、5万円台から6万円台で推移していることがわかります。
4. 【受給額分布】厚生年金・国民年金の平均月額と男女差を徹底比較
ここでは、60歳から90歳以上までの全受給権者を対象とした「平均年金月額」と、金額別の「受給額分布」を確認します。
4.1 厚生年金の平均月額と受給額分布(男女別)
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含む
受給額分布(1万円刻み)
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
厚生年金受給者全体の平均月額は15万289円でした。男女別に見ると、男性が16万9967円、女性が11万1413円となっており、約6万円の差があることが分かります。
4.2 国民年金の平均月額と受給額分布(男女別)
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
受給額分布(1万円刻み)
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
国民年金の平均月額は、全体で5万9310円です。男女別では男性が6万1595円、女性が5万7582円と、約4000円の差が見られました。
受給額の分布を見ると「6万円以上~7万円未満」の層が最も多く、多くの受給者が満額に近い年金額を受け取っていることが推測されます。
5. シニアの生活意識調査:「苦しい」が5割超という現実
厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の生活意識に関する実態を見ていきましょう。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
5.1 高齢者世帯が感じる「暮らし向き」の内訳
- 大変苦しい:25.2%
- やや苦しい:30.6%
- 普通:40.1%
- ややゆとりがある:3.6%
- 大変ゆとりがある:0.6%
この調査結果を見ると、シニア世帯の暮らし向きは、経済的な状況によって大きく3つのグループに分かれていることがうかがえます。
まず、全体の半数を超える55.8%が「大変苦しい」または「やや苦しい」と回答しており、日々の生活に経済的な厳しさを感じていることが分かります。
その一方で、「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」と答えた世帯は、合計してもわずか4.2%にとどまり、経済的な余裕を実感しているシニア世帯は少数派のようです。
そして、これらの中間に位置するのが、40.1%を占める「普通」と回答した層です。この割合は「苦しい」と感じる層には及びませんが、「ゆとりがある」層を大きく上回っています。
経済的に豊かなわけではないものの、堅実に生活している一定数のシニア世帯が、厚い中間層を形成していると考えられます。
6. まとめ:将来の年金額を把握することから始めよう
この記事では、老後の生活を支える重要な社会保障制度である公的年金について解説しました。公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造で、どちらに加入していたかによって将来受け取れる金額が大きく異なります。
国民年金の満額が月額7万608円(2026年度)であるのに対し、厚生年金の平均受給額は15万289円と、2倍以上の差があります。物価上昇が続くなか、公的年金だけでゆとりある老後を送ることは、簡単ではないかもしれません。
まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用して、ご自身が将来いくら年金を受け取れるのかを確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明
- LIMO「国民年金・厚生年金の年金一覧表、60歳~90歳以上「みんなの平均はいくら?」シニアの暮らし向き「普通が4割、苦しいが5割」生活意識のリアルな結果をみる」
マネー編集部年金班