経常収支は分かりにくい言葉ですが、要するに貿易で稼いだか(物品売買:輸出額から輸入額を引いたもの)、外国投資で稼いだか(配当や売却益)、内外のサービスで稼いだか(物品売買以外の観光のようなもの)などの合計です。

これは国ごとにデータが出ていますから、結構分かりやすいのです。

図表2:世界各国の経常収支トップ5

出典:UNCTAD(United Nations Conference on Trade and Development)


なんと、2017年に日本は21兆円も黒字だったのです。今の実力を持ってすれば、このペースが激減することはそうそう考えられません。ということで、今のところ日本は中国を凌駕するアジアの稼ぎ頭で、日本の周辺諸国がどう騒ごうとナンバーワンなのです。

もっとも、国の実力と、その国の中の企業や個人の稼ぐ力には相当の差がありますから、“台湾やシンガポールには超お金持ちが多い”といった印象は、それほど間違っているものではないでしょう。

ちなみに、かなりショッキングなのですが、米国の経常収支は世界189カ国中、189位と最下位。経常収支は約48兆円のマイナス(1年間に48兆円赤字)ですので、極論すれば支払いが足らなくなれば米ドル札を刷って代金を支払っている輪転機国家といってもいいかもしれません。

まとめ

ことほどさように、データは嘘をつきません。少なくとも日本は基軸通貨でない円を持ちながら対外黒字を保っています。GDP世界一の米国は、足らなければ米ドルをすればいい、という感覚です。

どちらがいいか…。筆者には判断つきませんが、テクニカルに考えると借金し放題で返す必要がないというのであれば、米国のやり方はいかにも資本主義的ではあって株価には素直に反映するのでしょう。

もっとも、親が金持ちの放蕩し放題の息子は、早晩一家の資産を食い潰してしまうのは世の習いなのですが(悲)。

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太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)