老後の暮らしについて考える方も多いでしょう。年金だけでは足りず、働き続けるシニアも増えています。

一方、2026年4月16日に株式会社シニアジョブが公表した調査によると、シニア向けの「土日休み」求人が多い職種は、専門職とホワイトカラーが多めであることがわかりました。

本記事では、70歳代世帯にフォーカスをあてて

  • 二人以上世帯における貯蓄額の平均と中央値
  • 厚生年金と国民年金の平均月額
  • 就業率

について解説します。

シニア向けの求人の傾向についても見ていきましょう。

1. 70歳代・二人以上世帯の貯蓄額はいくら?平均額と中央値

最初に、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」を基に、70歳代の二人以上世帯が保有する金融資産の状況を確認していきましょう。

※ここで言う金融資産保有額には、預貯金の他に株式、投資信託、生命保険などが含まれます。一方で、日常的な支払いや引き落としに使われる普通預金は対象外です。

同資料によると、70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は2416万円、中央値は1178万円でした。

平均値は一部の富裕層によって引き上げられる傾向があるため、より実態に近いとされる中央値が参考になるでしょう。

なお、世帯ごとの貯蓄額の詳しい分布は以下の通りです。

  • 金融資産非保有:10.9%
  • 100万円未満:4.5%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:3.7%
  • 300~400万円未満:3.9%
  • 400~500万円未満:2.9%
  • 500~700万円未満:6.4%
  • 700~1000万円未満:6.7%
  • 1000~1500万円未満:11.1%
  • 1500~2000万円未満:6.7%
  • 2000~3000万円未満:12.3%
  • 3000万円以上:25.2%
  • 無回答:0.6%

金融資産を全く保有していない世帯が10.9%。300万円未満に広げると24.2%です。その一方で、3000万円以上の資産を持つ世帯も25.2%と、全体の約4分の1を占めていることがわかります。

貯蓄額に差が生まれる要因は多岐にわたりますが、退職金の額や現役時代の収入、相続の有無、健康状態など、様々な要因が考えられるでしょう。

同様に、公的年金についても現役時代の働き方や加入状況によって個人差が生まれるものですが、参考までに平均額を見ていきましょう。

2. 【70歳代】厚生年金の受給額はいくら?男女別の平均と分布

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、70歳代が受給する年金の平均額を1歳刻みで見ていきましょう。

2.1 厚生年金の平均月額

70歳代の厚生年金の平均月額2/4

70歳代の厚生年金の平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:15万455円
  • 71歳:14万8371円
  • 72歳:14万6858円
  • 73歳:14万5583円
  • 74歳:14万7774円
  • 75歳:15万1410円
  • 76歳:15万1241円
  • 77歳:15万962円
  • 78歳:15万862円
  • 79歳:15万3115円

2.2 国民年金の平均月額

70歳代の国民年金の平均月額3/4

70歳代の国民年金の平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:6万1011円
  • 71歳:6万770円
  • 72歳:6万234円
  • 73歳:6万32円
  • 74歳:5万9813円
  • 75歳:5万9659円
  • 76歳:5万9555円
  • 77歳:5万9349円
  • 78歳:5万9124円
  • 79歳:5万8676円

ただし、年金額は前述のとおり個人差が大きいです。まずはご自身の見込額を把握することが大切です。

3. 70歳代の就業率はどれくらい?

かつては60歳を定年としてリタイアすることが一般的でしたが、現在では働き続けるシニアが増えています。

2025年9月14日に総務省が公表した「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」から、65歳以上の就業率を年齢階級別に見ていきましょう。

3.1 65歳以上の就業率

65歳以上の年齢階級別就業率の推移(2014年~2024年)4/4

65歳以上の就業率

出所:総務省「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」

2024年時点での65歳以上の就業率は25.7%に達し、前年から0.5ポイント上昇して過去最高を更新しました。年齢階級別の就業状況は以下の通りで、いずれも過去最高の水準です。

  • 65~69歳:53.6%
  • 70~74歳:35.1%
  • 75歳以上:12.0%

働き続けるシニアの割合は右肩上がりで推移しており、現状では70歳代前半(70~74歳)でも3人に1人以上が働いているのです。

4. シニア向けの「土日休み」求人が多い職種は?

株式会社シニアジョブは2026年4月16日、シニア向け土日休み求人の調査結果まとめを公表しました。

調査によると、シニア向けの「土日休み」求人が多い職種は、専門職とホワイトカラーが多めであることがわかりました。また、関東・東京への一極集中の傾向が強いことも浮き彫りとなっています。

4.1 シニア向け土日休み求人が多い職種TOP10

  • 1位:建築施工管理7.7%(全求人2.1%、残業なし・20時間以内1.1%)
  • 2位:会計事務所スタッフ6.1%(全求人0.8%、残業なし・20時間以内0.9%)
  • 3位:営業4.7%(全求人2.5%、残業なし・20時間以内1.8%)
  • 4位:清掃員・清掃スタッフ4.1%(全求人3.9%、残業なし・20時間以内5.2%)
  • 5位:エンジニア・SE(Web系)4%(全求人1.1%、残業なし・20時間以内0.6%)
  • 6位:一般事務・営業事務・受付4%(全求人2.2%、残業なし・20時間以内2.2%)
  • 7位:土木施工管理3.7%(全求人1.4%、残業なし・20時間以内0.8%)
  • 8位:保育士3.3%(全求人4.7%、残業なし・20時間以内6.3%)
  • 9位:調理師・調理補助・料理長3.3%(全求人7.9%、残業なし・20時間以内9.5%)
  • 10位:財務・経理3.1%(全求人0.8%、残業なし・20時間以内0.8%)

4.2 雇用形態

  • 正社員:土日休み45.8%、全求人40.1%、残業なし・20時間以内28.2%
  • 契約社員:土日休み13.5%、全求人7%、残業なし・20時間以内10.2%
  • パート・アルバイト:土日休み27.8%、全求人48.8%、残業なし・20時間以内71.8%
  • 派遣社員:土日休み10.6%、全求人2.9%、残業なし・20時間以内4.2%
  • 業務委託:土日休み2.3%、全求人1.3%、残業なし・20時間以内1.9%

4.3 求人件数の多い都道府県

  • 埼玉県:土日休み5.9%、全求人6.3%、残業なし・20時間以内7%
  • 千葉県:土日休み4.5%、全求人5.3%、残業なし・20時間以内5.7%
  • 東京都:土日休み29.9%、全求人16.6%、残業なし・20時間以内17.3%
  • 神奈川県:土日休み9.5%、全求人7.4%、残業なし・20時間以内8.3%
  • 愛知県:土日休み7.5%、全求人5.3%、残業なし・20時間以内5.8%
  • 大阪府:土日休み9.5%、全求人7.3%、残業なし・20時間以内7.7%
  • 兵庫県:土日休み3.5%、全求人3.8%、残業なし・20時間以内4%
  • 福岡県:土日休み3.5%、全求人3.6%、残業なし・20時間以内3.6%

5. まとめ

今回は、70歳代の貯蓄額や年金、さらに就業状況に関する様々なデータをご紹介しました。

平均値や中央値はあくまで多くの世帯の状況をまとめたものであり、ご自身の状況と完全に一致するわけではありません。こうした客観的なデータを知ることで、ご自身の家計状況を冷静に振り返りたいと思った方は、まずは退職金や年金の目安額を確認してみましょう。

また、老後対策では「収入」だけでなく「支出」の把握も重要です。今の家計をもとにどれほどダウンサイジングできそうか、もしくは赤字にならないためにはいくらに抑えるべきなのかをシミュレーションしてみましょう。

そこで足りない分について、改めて「貯蓄」や「働き続ける」等の検討が必要になります。

まずは知ることから始めてみましょう。

参考資料

太田 彩子