3.3 誤解3:「支払った保険料の元が取れない」は本当か?

公的年金は、自身が支払った保険料を積み立てて将来受け取る、というだけの単純な貯蓄制度ではありません。

  • 老齢年金:長生きすることによる経済的リスクに備える
  • 障害年金:病気やけがで働けなくなった際の生活を保障する
  • 遺族年金:加入者が亡くなった場合に残された家族の生活を支える

といった機能を備えた、総合的な社会保険制度としての側面を持っています。

世代と世代の支えあい6/7

世代と世代の支えあい

出所:日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」

そのうえ、所得を再分配する機能も有しており、現役時代の収入格差が、そのまま年金受給額の格差にならないように調整される仕組みになっています。

公的年金の所得再分配機能7/7

公的年金の所得再分配機能

出所:厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料①」

そのため、「支払った保険料の元が取れるか」という損得勘定だけで制度の価値を判断することは、公的年金が持つ本来の役割を見誤ることにつながりかねません。

4. 厚生年金と国民年金、まずは自身の受給見込み額を確認しよう

本記事では、令和8年度の年金額改定の内容、実際の受給額の分布、そして年金制度にまつわる一般的な誤解について見てきました。

標準的な夫婦世帯の厚生年金は月額23万7279円に増える一方、平均受給月額は約15万円であり、月30万円以上を受け取る人は0.12%とごくわずかです。

また、制度には給付水準の自動調整機能があるため、「破綻する」や「負担が増え続けるだけ」といった見方は必ずしも正確ではないこともお伝えしました。

今回ご紹介したデータを参考に、まずはご自身の年金受給見込み額を「ねんきんネット」などで確認してみてはいかがでしょうか。

公的年金を老後生活の基盤としつつ、必要に応じて私的年金や資産形成で上乗せ部分を準備するなど、将来を見据えた具体的な計画を立てるきっかけにしていただければ幸いです。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

東大森 勝太