春の訪れとともに、新しい年度が始まりました。
日々の生活の中で物価の上昇を肌で感じることも多く、年金だけで暮らしていけるのかと不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
2026年度からは年金額も改定されますが、少しでも暮らしにゆとりを持つためには、利用できる制度をしっかり活用することが大切です。
そこで今回は、公的年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」について、制度の基本から2026年度の改定内容、対象となる方の条件や手続きの方法まで、一つひとつ丁寧に解説していきます。
ご自身が対象になるかを確認し、ゆとりあるセカンドライフへの一歩としてお役立てください。
年金生活者支援給付金の制度概要
年金生活者支援給付金とは、公的年金に加えて受け取れる給付金のことで、生活の支援を目的としています。この給付金には、次の3つの種類があります。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
これらは「老齢・障害・遺族」それぞれの基礎年金を受け取っている方で、公的年金などを含めた所得が一定の基準を下回る場合に、2ヶ月に1度支給されます。
年金生活者支援給付金を受け取るための支給要件とは?
ここでは、給付金を受け取るために満たす必要のある条件について、詳しく見ていきましょう。
障害・遺族年金生活者支援給付金の対象者
まず「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、それぞれ障害基礎年金または遺族基礎年金を受給していることが前提です。その上で、前年の所得が479万4000円以下であることが条件となります。
ここで重要なポイントは、所得の計算に障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれないという点です。
また、扶養親族の人数によって所得の基準額が引き上げられる点も覚えておくとよいでしょう。
老齢年金生活者支援給付金の対象者
一方、老齢年金生活者支援給付金を受け取るには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること
- 同じ世帯にお住まいの全員が、市町村民税の課税対象ではないこと
- 前年の公的年金などの収入金額と、給与所得や利子所得といったその他の所得を合計した額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下であること
老齢年金生活者支援給付金は、ご自身の所得だけでなく世帯全体の状況も要件に含まれる点が特徴です。なお、こちらの判定においても、障害年金や遺族年金などの非課税収入は所得に含まれません。
また、所得が基準額をわずかに超えたために給付の対象外となる方との公平性を保つため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という制度も設けられています。
この対象となるのは、所得の合計額が「昭和31年4月2日以降に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下の方」、または「昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下の方」です。
2026年度における年金生活者支援給付金の支給額
年金生活者支援給付金の給付額は、前年の物価の変動を反映して毎年見直されます。
2026年度の給付額は、物価変動を受けて前年度から3.2%の引き上げとなりました。
種類別の具体的な給付額(2026年度)
- 老齢年金生活者支援給付金:月額5620円(基準額)
- 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級は月額7025円、2級は月額5620円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円
老齢年金生活者支援給付金については、この5620円はあくまで基準額である点に注意が必要です。
実際の支給額は、これまでの保険料を納めた期間や免除された期間に応じて個別に計算される仕組みになっています。
年金生活者支援給付金の請求手続きについて
給付金の対象となった場合、どのような手続きが必要になるのかを見ていきましょう。すでに年金を受け取っている方で、新たに給付金の対象となった場合には、日本年金機構から請求手続きのご案内が送付されます。
すでに基礎年金を受給している場合の手続き
- 毎年9月上旬から順次、日本年金機構より「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。
- 2025年1月以降に65歳になった方で、このはがき型の請求書が届いた場合は、便利な電子申請も利用可能です。
- 電子申請を利用しない方は、請求書に必要事項を記入し、切手を貼って郵送で提出します。
なお、所得情報などが不明で支給要件の確認ができない方には、はがき型ではなくA4サイズの請求書と所得状況届が送られてきます。
続いて、これから年金を請求する場合の流れも確認しておきましょう。
これから老齢基礎年金を請求する場合の手続き
- 65歳の誕生日を迎える3ヶ月ほど前に、年金の請求書と一緒に給付金の請求書が日本年金機構から送られてきます。
- 必要事項を記入した上で、年金の受給を開始する年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書とあわせて年金事務所へ提出してください。
※注意点として、障害基礎年金や遺族基礎年金を初めて請求する方は、給付金の請求書が自動では送付されません。年金の請求手続きと同時に、ご自身で年金事務所などの窓口にて給付金の請求手続きを行う必要があります。
給付金はいつ、どのように支給される?
給付金は、公的年金と同じく偶数月の15日に支給されます。支給日が土日や祝日にあたる場合は、その直前の営業日に前倒しで支給されます。
例えば、10月15日に支給されるのは、その前の8月分と9月分の2ヶ月分です。
年金を受け取っているのと同じ口座に支給されますが、通帳には年金とは別に記載されます。
参考:現在の年金受給額の平均は?
ここで参考に、現在の年金受給者が実際にどれくらいの金額を受け取っているのか、国民年金と厚生年金の平均月額を確認してみましょう。厚生労働省が公表した『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、以下のようになっています。
国民年金(基礎年金)の平均月額
厚生労働省『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の平均月額は以下の通りです。
- 全体平均:5万9310円
- 男性平均:6万1595円
- 女性平均:5万7582円
厚生年金の平均月額(国民年金部分を含む)
同じく厚生労働省『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によれば、国民年金部分を含んだ厚生年金の平均月額は次のようになっています。
- 全体平均:15万289円
- 男性平均:16万9967円
- 女性平均:11万1413円
厚生年金は現役時代の収入や加入期間によって金額が大きく変わるため、受給額には個人差が見られます。
まとめ
今回は、公的年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」について、2026年度の改定内容や支給要件、手続き方法などを解説しました。
この給付金は、年金収入だけでは生活が厳しいと感じる方々を支えるための大切な制度です。
特に物価の上昇が気になる昨今、2026年度からの増額は心強いものとなるでしょう。
大切なのは、この制度は基本的にご自身で請求手続きをしないと受け取れないという点です。
対象になる可能性のある方には日本年金機構から案内が届きますので、見逃さないようにしましょう。
もしご自身が対象になるか不安な場合や、手続きでわからないことがあれば、お近くの年金事務所や「ねんきんダイヤル」に相談してみてはいかがでしょうか。
利用できる制度を正しく理解し、これからの暮らしに役立てていきましょう。






