米中首脳会談を好感し、海外、国内ともに株式市場は堅調

2019年7月5日の日経平均株価の終値は、前日より43円93銭高の21,746円38銭となりました。

6月29日に米国のトランプ大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が大阪市内で会談を行い、5月から途絶えている貿易協議を再開することや追加の対中制裁関税を先送りすることなどを合意しました。このほか、トランプ氏がファーウェイ(華為技術)への米国企業による部品販売も認める方針を明らかにしたことなどもあって、日本株も週初1日から電子部品や半導体関連株などが広く買われました。

1日の日経平均は前週末比454円05銭高と、令和に入って最大の上げ幅となりました。ただ、その後は米雇用統計前ということもあり、様子見ムードとなり小幅な値動きとなりました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。米国株式市場は好調です。3日にはダウ工業株30種平均、S&P500種株価指数、ナスダック総合株価指数がそろって最高値を更新しました。

5日には6月の米雇用統計が発表され、非農業部門の就業者数が前月比で22万4000人の増加と、市場予測(16万人程度)を大幅に上回りました。米経済の堅調さが確認できたわけですが、そのまま株価上昇につながらないのが難しいところです。

というも、雇用統計の結果がよかったことで、投資家の間には、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ期待が後退するのではないかという観測が広がったのです。実際に5日のダウ平均は小幅ながら反落しました。市場では7月30~31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げされることが織り込み済みと見られていますが、下げ幅が少ない場合、失望売りにつながることも予想されます。

日本株にとっては為替の動向が気になります。先週末は利下げ期待後退にともない、若干の円安となりました。これが好感されれば週初から日本株も買われることになるでしょう。ただし、10、11日にFRBのパウエル議長による米議会証言も行われることから、これを見極めたいという動きになるかもしれません。

75日移動平均線を回復。22,000円台も視野に入る

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。大きなポイントは75日移動平均線を回復したことです。前週までは75日線に上値を押さえられるような形でしたが、1日に窓をあけて突破すると、逆に下値を支えられるような動きに変わりました。75日線は昨年の秋から強い上値抵抗線、下値支持線になっていました。それを回復したことは頼もしいところです。

直近の上値メドである5月20日の高値(21,430円)や6月21日の高値(21,497円)も終値ベースで上回りました。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。直近のチャートは6月4日の安値(20,289円)を底とする強い上昇トレンドになっています。25日線が75日線に近づき、ゴールデンクロスが形成されようとしています。目線は上に持っていいでしょう。

まずは今週、目先意識されやすい22,000円を突破できるかどうかが重要です。22,000円を回復できれば、4月24日の高値(22,362円)が次の目標になります。その先、22,500円~23,000円あたりは、過去に売買が積み上がっているところであり、抜けるにはパワーが必要です。ただし抜けてしまうと昨年10月2日の高値(24,448円)ぐらいしか目立った節がなく、視界が広がっています。

逆にここから調整があるとしても、21,000円や6月4日の安値(20,289円)あたりまでは押し目買いの動きになると思われます。リスクに備えながらも、22,000円台回復やその先の動きには積極的に付いていきたいところです。

下原 一晃