もうすぐ4月15日、2ヶ月に1度の年金支給日です。

現役時代の働き方や住んでいる地域によって、将来もらえる額にどれくらいの差が出るのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

特に、物価も賃金水準も高い東京都において、年金だけで暮らすことができるのか気になります。

都道府県別に年金額を紐解くと、実は厚生年金と国民年金で「明暗」が分かれる結果が出ています。

今回は、厚生労働省の最新資料をもとに、東京の年金事情のリアルに迫ります。

1. 東京都の厚生年金は「16万3892円」で全国3位の高水準

厚生労働省の資料(令和6年度末現在)によると、会社員や公務員などが加入する厚生年金(第1号)の全国平均月額は15万1142円です。

これに対し、東京都の平均受給額は以下の通りです。

  • 東京都の厚生年金平均月額:16万3892円

全国平均よりも1万2750円高く、都道府県別のランキングでは神奈川県(17万457円)、千葉県(16万5103円)に次いで全国第3位となっています。

厚生年金受給額ランキング1/4

厚生年金受給額ランキング

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

上位は首都圏の1都2県が独占しており、現役時代の高い賃金水準がそのまま将来の年金額に反映されている様子がうかがえます。

1.1 【厚生年金保険(第1号)】平均年金月額ランキング

  • 1位:神奈川県(17万457円)
  • 2位:千葉県(16万5103円)
  • 3位:東京都(16万3892円)
  • 4位:奈良県(16万2292円)
  • 5位:埼玉県(16万1752円)
  • 6位:愛知県(16万766円)
  • 7位:兵庫県(15万9086円)
  • 8位:大阪府(15万6272円)
  • 9位:滋賀県(15万4456円)
  • 10位:茨城県(15万2963円)
  • 11位:静岡県(15万1960円)
  • 12位:三重県(15万1949円)
  • 13位:京都府(15万1483円)
  • 14位:広島県(15万745円)
  • 15位:岐阜県(14万9910円)
  • 16位:栃木県(14万9631円)
  • 17位:群馬県(14万8666円)
  • 18位:山口県(14万8166円)
  • 19位:岡山県(14万6429円)
  • 20位:和歌山県(14万5933円)
  • 21位:福岡県(14万5822円)
  • 22位:宮城県(14万4920円)
  • 23位:長野県(14万4668円)
  • 24位:山梨県(14万4665円)
  • 25位:富山県(14万4644円)
  • 26位:香川県(14万4026円)
  • 27位:石川県(14万1792円)
  • 28位:北海道(14万1069円)
  • 29位:福井県(14万787円)
  • 30位:愛媛県(14万301円)
  • 31位:新潟県(13万8683円)
  • 32位:福島県(13万6880円)
  • 33位:長崎県(13万6825円)
  • 34位:大分県(13万6507円)
  • 35位:佐賀県(13万4191円)
  • 36位:徳島県(13万4131円)
  • 37位:島根県(13万3918円)
  • 38位:鳥取県(13万3459円)
  • 39位:鹿児島県(13万3343円)
  • 40位:岩手県(13万2943円)
  • 41位:熊本県(13万2740円)
  • 42位:高知県(13万2202円)
  • 43位:山形県(13万1169円)
  • 44位:秋田県(12万9503円)
  • 45位:宮崎県(12万9224円)
  • 46位:沖縄県(12万8819円)
  • 47位:青森県(12万8129円)

2. 意外な結果? 東京都の国民年金は全国平均を下回る「5万8313円」

一方で、自営業者やフリーランスなどが加入する「国民年金(老齢基礎年金)」に目を向けると、意外な事実が浮かび上がります。

国民年金の全国平均月額は5万9431円です。

しかし、東京都のデータを見ると、驚きの結果が出ています。

  • 東京都の国民年金平均月額:5万8313円

なんと、東京都の国民年金は全国平均を1118円下回っているのです。

国民年金の受給額ランキング2/4

国民年金の受給額ランキング

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

厚生年金が全国トップクラスであるのに対し、国民年金は平均以下となっています。

2.1 【国民年金(老齢基礎年金)】平均年金月額ランキング

  • 1位:富山県(6万2989円)
  • 2位:福井県(6万2290円)
  • 3位:島根県(6万2287円)
  • 4位:長野県(6万2030円)
  • 5位:新潟県(6万1957円)
  • 6位:石川県(6万1923円)
  • 7位:香川県(6万1718円)
  • 8位:岡山県(6万1564円)
  • 9位:鳥取県(6万1502円)
  • 10位:三重県(6万1403円)
  • 11位:岐阜県(6万1248円)
  • 12位:滋賀県(6万1172円)
  • 13位:静岡県(6万1150円)
  • 14位:山口県(6万1120円)
  • 15位:佐賀県(6万1084円)
  • 16位:広島県(6万991円)
  • 17位:山形県(6万827円)
  • 18位:岩手県(6万720円)
  • 19位:群馬県(6万564円)
  • 20位:愛知県(6万34円)
  • 21位:福島県(5万9922円)
  • 22位:熊本県(5万9907円)
  • 23位:愛媛県(5万9792円)
  • 24位:鹿児島県(5万9659円)
  • 25位:栃木県(5万9544円)
  • 26位:宮城県(5万9532円)
  • 27位:茨城県(5万9395円)
  • 28位:千葉県(5万9354円)
  • 29位:神奈川県(5万9342円)
  • 30位:山梨県(5万9275円)
  • 31位:宮崎県(5万9234円)
  • 32位:秋田県(5万9147円)
  • 33位:兵庫県(5万9138円)
  • 34位:埼玉県(5万9007円)
  • 35位:奈良県(5万8961円)
  • 36位:徳島県(5万8797円)
  • 37位:長崎県(5万8617円)
  • 38位:北海道(5万8435円)
  • 39位:大分県(5万8397円)
  • 40位:東京都(5万8313円)
  • 41位:福岡県(5万8300円)
  • 42位:京都府(5万8206円)
  • 43位:高知県(5万7926円)
  • 44位:和歌山県(5万7784円)
  • 45位:青森県(5万7137円)
  • 46位:大阪府(5万7122円)
  • 47位:沖縄県(5万4217円)

なぜ、このような逆転現象が起きているのでしょうか。

3. なぜ東京は「厚生年金は高く、国民年金は低い」のか

この格差が生まれる理由は、それぞれの年金制度の仕組みにあります。

3.1 厚生年金が高い理由:賃金水準と「大企業」の多さ

厚生年金の受給額は、現役時代の収入(標準報酬月額)と加入期間に基づいて計算されます。

東京都は日本で最も賃金水準が高く、また高収入の会社員が勤める大企業の本社が集中しているため、連動して年金平均受給額も押し上げられる傾向にあるのです。

3.2 国民年金が低い理由:学生や単身世帯、免除制度の利用

国民年金の受給額は、納めた保険料の「期間」によって決まります。

東京は学生や単身世帯などの割合が高く、地方に比べて保険料の未納や、免除・猶予制度を利用する人の割合が高いことが推測されます。

保険料を免除されたり猶予されたりすると、将来受け取れる年金額は満額から減額されます。

こうした「満額受給できない層」が都市部では一定数存在することが、平均額を押し下げる要因となっていると考えられます。

4. 【厚生年金と国民年金】全国平均から見る「老後のリアル」

あらためて全国的な視点で見ると、公的年金のみで老後の生活費をすべて賄うのは容易ではないことが分かります。

国民年金は月額6万円に満たない水準であり、厚生年金を含めても15万円前後です。

厚生労働省の同資料を基に、60歳から90歳以上の全受給権者を対象とした「平均年金月額」と「受給額分布」を紹介します。

4.1 【男女別】厚生年金の平均受給月額

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金の金額を含む

4.2 厚生年金の受給額分布(1万円刻み)

  • ~1万円:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

厚生年金の全体の平均月額は15万289円ですが、男女別に見ると大きな差があります。男性の平均が16万9967円であるのに対し、女性は11万1413円と、約6万円の開きがあることがわかります。

4.3 【男女別】国民年金の平均受給月額

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

4.4 国民年金の受給額分布(1万円刻み)

  • 1万円未満:5万1828人
  • 1万円以上~2万円未満:21万3583人
  • 2万円以上~3万円未満:68万4559人
  • 3万円以上~4万円未満:206万1539人
  • 4万円以上~5万円未満:388万83人
  • 5万円以上~6万円未満:641万228人
  • 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
  • 7万円以上~:299万7738人

国民年金受給額の分布を見ると、「6万円以上~7万円未満」の層が最も多く、多くの受給者が満額に近い金額を受け取っていることが推測されます。

また、ここから介護保険料や健康保険料、税金などが引かれるため、手取り額はさらに少なくなることに注意が必要です。

5. まとめ:自分の「ねんきん定期便」を確認し、早めの対策を

東京都のデータが示す通り、統計上の「平均」はあくまで目安に過ぎません。

特に国民年金については、保険料の納付状況によって受給額に大きな個人差が出ます。

毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」や、日本年金機構の「ねんきんネット」等を活用し、まずはご自身の年金受給額を確認してみましょう。

参考資料

LIMOローカルニュース編集部