春は新生活や物価の見直しが意識される時期です。「年金だけで生活できるのか」と不安を感じる方も増えています。

厚生年金の受給実態を見ると、月30万円以上の受給者はごく少数で、月20万円未満の層が多数を占めています。

さらに、2026年4月には2798品目が平均14%値上がりし、家計への圧力は増すばかり。この記事では、年金の実態と物価上昇が生活に与える影響を具体的な数字で解説します。

1. 厚生年金「月30万円以上」受給者はわずか0.12%

厚生年金の受給額は、現役時代の報酬と加入期間によって決まります。高収入で長く働いた人ほど受け取れる額は増えますが、実態として月30万円以上を受け取っている人は全体のわずか0.12%、1000人のうち1〜2人という水準です。

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から分布を整理すると、現実が見えてきます。

  • 月10万円以上:81.0%(受給者の大多数)
  • 月15万円以上:49.8%(約2人に1人)
  • 月20万円以上:18.8%(5人に1人以下)
  • 月30万円以上:0.12%(1000人中1〜2人)

この分布で注目すべきは、月20万円の壁です。5人に4人以上が月20万円未満という事実は、「年金で老後の生活費を全額まかなう」ことが、大多数の人にとって難しいことを示しています。

2. 「平均15万円」という数字の落とし穴

同データによると、令和6年度の厚生年金平均受給月額は15万289円と、15万円を超えています。

物価・賃金の上昇が年金額に反映された結果ですが、この数字を「自分の老後の目安」と読み替えるのは早計です。

厚生年金の受給額分布2/3

厚生年金の受給額分布

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

平均値は高額受給者に引き上げられやすく、実態より高く見える傾向があります。分布を見ると受給者の半数近くが月15万円未満であり、「平均並みの年金がもらえるだろう」という想定は甘いかもしれません。

3. 食品値上げが私たちの生活に与える影響

帝国データバンクによると、2026年4月の食品値上げは主要195社で2798品目にのぼり、平均値上げ率は14%に達しました。

春先は一服感があるものの、年後半に再燃する可能性が指摘されています。

3.1 毎日の食卓で「じわじわ」と家計が圧迫される

今年4月の値上げで最も品目数が多かったのは「調味料」(1514品目)です。マヨネーズやドレッシング、しょうゆなどは毎日の料理に欠かせないもの。価格は平均14%上昇しており、たとえば200円の調味料が228円になる計算です。

さらに即席麺・缶詰などの加工食品や食用油も値上がりしており、「ちょっとした節約」では追いつかないほど、食費全体が底上げされていきます。特に一人暮らしや子育て世帯など、食費の割合が高い家庭ほど影響を感じやすい状況です。

3.2 「安いから買いだめ」が通用しにくくなる

今回の値上げの特徴は、原材料・物流費・包装資材・エネルギー・人件費と、コスト上昇の要因が複数重なっている点です。ひとつの要因が解消されても、別の要因が残るため、値下がりに転じにくい「粘着的な値上げ」が続きます。

また、価格はそのままで内容量を減らす「ステルス値上げ(減量値上げ)」も菓子類などで散見されており、単純に価格だけを見ていると気づかないうちに損をしているケースも増えています。

3.3 年後半はさらなる値上げラッシュに要注意

現時点では2026年の値上げペースは前年比で約半減と落ち着いていますが、安心はできません。中東情勢の悪化による原油高、1ドル160円に迫る円安の長期化、小麦・食用油の国際価格上昇など、複数のリスクが同時に高まっています。特に、イラン情勢が与える影響は甚大です。

これらが重なると、秋以降に幅広い食品が一斉に値上がりする「年後半ラッシュ」が起こりうる状況です。家計の見直しや食費の予算設定は、今のうちに余裕を持って行っておくことが賢明です。

4. 年金額と物価上昇の現実を踏まえた家計対策|早めの見直しが重要

厚生年金で月30万円以上を受け取る人はごく一部に限られ、多くの人は平均とされる月15万円前後の水準で生活しています。

しかし、この「平均」という数字には個人差が大きく、実態を正しく理解することが重要です。

さらに、食品を中心とした値上げが続く中で、日々の生活費は確実に上昇しています。

春は家計や支出を見直す良いタイミングでもあります。今回の内容を参考に、自身の年金額と支出のバランスを確認し、無理のない家計管理や備えを早めに進めることが大切です。

参考資料