不満を抱える6人弟妹の長男
2016年に100万人を切ったわが国の出生数。2018年の合計特殊出生率※は、1.42人となっています。
周囲を見回しても、一人っ子が増えていますし、多くは2人、せいぜい3人という印象です。4人以上になれば、自他ともに認める子だくさんの家といえるのではないでしょうか。
一方で、にぎやかな家庭に憧れる人は珍しくありません。しかし子だくさんの家の子どものすべてが、子だくさんの家に生まれたことを喜んでいるわけではないようです。6人弟妹の長男という男子に会ったことがありますが、彼も不満を感じている1人でした。
彼は知人の元中学教師のかつての教え子で、現在も未成年です。頼まれて出張のついでに会ったのですが、当時は高校1年生でした。出生率の低さを見ても、子ども6人という家庭がいかに少数かは想像に難くありません。本人が特定されることは避けたいので、住所地や正確な年齢などは控えます。
※1人の女性が生涯に産むことが見込まれる子供の数を示す指標
「一人っ子だったら、何でも買ってもらえるのに」
知人との今後のやりとりに役立つかなと思い、彼のメールのアドレスを尋ねました。
「スマホもガラ携も持ってないんだ。弟妹、多いから。ゲームもしたことないし」
部屋は弟と兼用で、机は高校受験のときにようやく専用のものを買ってもらったのだと言います。二段ベッドで寝起きしていることも、「小さい子どもみたいじゃん」と不満のようでした。母親が刈ってくれるのだという坊主頭のほか、いくつかの不満を並べていました。
子どもの数が多ければ、1人当たりにかけられる経費は当然、少なくなることくらいわかります。「一人っ子だったら、何でも買ってもらえるのに」との思いも当然、理解できます。とはいえ、いいこともあるはずです。
「妹はかわいいよ。うるさいと思うときもあるけど」
2人いるという妹は、早く風呂に入れだの、伸びているからと言って爪を切ってくれたり、何かと彼の世話を焼こうとするそうです。その様子を聞いていると、まるで世話女房2人にかしずかれているかのようです。
理想的な部活作りができたのは、大家族の賜物!?
彼の父親は、大手企業のサラリーマンです。住まいは社宅ですが、大きめの家を割り当てられているようです。