せっかく難関の大企業に入社したのに、ほんの数年で辞めてしまうというケースがあります。実際に入社してみたら、仕事内容や人間関係が自分に合わないということはあり得るので仕方がないことですが、それでも新卒では大企業を目指した方がその後のキャリアでも有利になるという考え方もあります。離職率やその背景、それでも大企業を目指すべき理由を見ていきます。
新卒の離職率はどれくらい?
厚生労働省は「新規学卒者の離職状況」の中で、卒業年ごとに「中学」「高校」「短大等」「大学」に分けた3年目までの離職者数と離職率を公開しています。以下は、3年目までのデータがある平成27年3月新規学卒就職者の、3年目までの離職率です。
中学卒:64.1%
高校卒:39.3%
短大等卒:41.5%
大学卒:31.8%
このように、学歴が高くなるにつれて3年目までの離職率は低くなるものの、大卒者でも3割超が3年以内に離職しているという結果が示されています。
就活中と働いてからのイメージが違うのは、ある意味当然
よく「入社前のイメージと違った」ということを聞きます。では、そのギャップはなぜ起きるのでしょうか。それにはまず、採用過程の企業は就活生を「お客さま」として接していることを理解しておく必要があります。
就活でご縁がなくても、就活中に企業のことを知ってもらえば、その後自社の商品やサービスを使ってくれるかもしれないのですから、基本的には良いイメージを持ってもらえるように就活生に接します。そのため、企業のリクルーティング用ウェブサイトを見たり説明会に足を運んだりして入念に企業研究をしていても、いざ入社すると「イメージと違う」と感じることになるわけです。
入社後に配属された部署や一緒に働く上司によっても働きやすさは大きく異なってきます。実力と人間性を兼ね備えた上司の下で働くことができる場合もあれば、パワハラ体質だったり頼りなかったりする上司の下で働くことになる場合もあるでしょう。配属は運によるところも大きいので、こうした目の前の人間関係に耐え切れなくなるのも、数年で離職することにつながります。
大企業に就職するメリット
会社の看板を使って大きな仕事が経験できる
大企業で働くメリットとしてまず挙げられるのは、若手のうちから会社の看板を使い、スケールの大きな仕事が経験できることです。特に大手企業同士のプロジェクトや世界を股にかけるような仕事は中小企業・個人で成し遂げるのは難しいので、大企業で働く人の醍醐味といえるでしょう。
また、このような仕事に携わることで、大きなプロジェクトを進めるときの時間配分や人材配置、法律や国際ルールなど、将来に役立つ多くのことを吸収することができます。