新年度の慌ただしさが落ち着く5月は、家族の健康や将来について考える時間が少し増える時期でもあります。「

もし親の介護が必要になったら…」とふと頭をよぎることもあるかもしれません。そんなときに頼りになるのが介護保険制度ですが、いざ使おうとすると「何から始めればいいのか分かりにくい」と感じる方も多いのが実情です。

2000年に創設された介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みです。頼れる公的保険ではあるものの、「いざ必要になったとき」に慌てないためには、事前の理解が欠かせません。

歩行器や車いすといった介護用品も、公的支援を使えば自己負担を大幅に抑えられます。ただし、要介護認定の申請から結果通知まで原則30日以内のため、早めに動くことが重要です。

本記事では、介護保険の給付内容・被保険者の区分・認定の流れまで、知っておきたい知識を解説します。

1. 介護保険制度の基本を「しくみ」から理解する

介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支えるために2000年に創設された社会保険制度です。「市町村と特別区(広域連合を設置している場合は広域連合)」が保険者となります。

介護保険の被保険者は、65歳以上の方(第1号被保険者)と、40歳から64歳までの医療保険加入者(第2号被保険者)に分けられます。

1.1 介護保険給付の内容

介護保険の給付は、大きく二つに分かれます

介護給付は要介護1〜5の認定を受けた方が対象であり、訪問介護や通所介護、施設への入所サービスなどが含まれます。

一方、予防給付は要支援1・2の方を対象とし、状態の悪化を防ぐための介護予防サービスです。

介護保険制度の仕組み1/3

介護保険制度の仕組み

出所:厚生労働省「介護保険制度について」

サービスの利用にあたっては、認定された要介護度ごとに支給限度額が設定されています。その範囲内で、ケアプランに基づいたサービスを組み合わせて利用する仕組みです。

1.2 介護保険の被保険者

介護保険の被保険者は、65歳以上の「第1号被保険者」と、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である「第2号被保険者」に区分されます。第1号被保険者は、要介護状態または要支援状態になった場合、原因を問わずサービスを利用できます。

これに対して第2号被保険者は、加齢に起因する特定疾病(末期がん、関節リウマチ、初老期における認知症など16疾病)によって要支援・要介護状態になった場合に限り、給付の対象です。保険料の納付方法も異なり、第1号被保険者は年金からの天引きが原則であるのに対し、第2号被保険者は加入する医療保険の保険料に上乗せして徴収されます。

2. 要介護認定はどう進む?申請から結果までの流れを確認

介護保険サービスを利用するには、まず市区町村の窓口に要介護認定の申請を行います。申請後、市区町村の認定調査員が自宅を訪問し、心身の状態について聞き取り調査を実施する流れが一般的です。

要介護認定の流れ2/3

要介護認定の流れ

出所:羽村市「要介護認定の申請方法と流れ」

この調査結果と主治医の意見書をもとに、コンピュータによる一次判定が行われます。その後、保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会において二次判定が実施され、最終的な要介護度が決定されます。

3. 困ったときの相談先「地域包括支援センター」の役割とは

地域包括支援センターは、高齢者の暮らしを地域で包括的に支えるための中核機関です。各市区町村に設置されており、介護保険に関する相談に対応しています。

主な業務は、介護予防ケアマネジメント、総合相談支援、権利擁護、および包括的・継続的ケアマネジメント支援の4つです。

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地域包括支援センター

出所:森町「地域包括支援センター係」

保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーの三職種が配置され、高齢者やその家族からの相談に幅広く対応しています。介護に関する不安や疑問がある場合、まず相談すべき窓口として、地域住民にとって重要な存在です。

4. 介護用品(歩行器・車いすなど)購入への支援制度

歩行器や車いす、介護ベッドなど、介護に必要な用品は高額になりがちです。しかし、公的な支援制度をうまく活用すれば、費用の負担を大きく抑えることができます。

まず活用したいのが「介護保険の福祉用具貸与」制度です。 要介護・要支援の認定を受けた方は、車いす・歩行器・手すり・スロープなど13種目の福祉用具をレンタルする際、費用の1〜3割の自己負担でサービスを利用できます。購入よりレンタルが原則とされており、状態の変化に応じて用具を交換しやすいメリットがあります。

購入が必要な用品には「特定福祉用具販売」が適用されます。 ポータブルトイレ・入浴補助用具・簡易浴槽など、衛生上レンタルになじまない5種目が対象です。年間10万円を上限に、購入費用の7〜9割が支給されます。

介護保険の対象外でも、自治体独自の助成制度があります。 紙おむつや尿取りパッドへの現物支給・購入費助成を行っている市区町村があり、介護に関する経済的負担を軽減するうえで効果的です。

利用するには、まずケアマネジャーにケアプランへの組み込みを依頼することが必要です。「自分で買ってしまった後」では制度が使えないケースもあるため、購入・レンタル前に必ず確認しましょう。

5. おわりに

介護保険を賢く使うには、「困る前に動く」ことが何より大切です。要介護認定の申請はお住まいの市区町村窓口か地域包括支援センターで受け付けており、相談は無料でいつでも可能です。

福祉用具のレンタル・購入にも公的支援がありますが、「購入後の申請」では制度を使えないケースもあるため、必ず事前にケアマネジャーへ確認しましょう。まずは最寄りの地域包括支援センターに連絡し、ご自身やご家族の状況を専門家に相談するところから始めてみてください。

参考資料

柴田 充輝