40代と60代の貯蓄額には大きな差があります。金融広報中央委員会が2018年に公表した「平成30年(2018年) 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」をもとに、40代と60代の貯蓄額を比べてみましょう。

■貯蓄額のリアルな実態は?

40代と60代の2人以上世帯における金融資産保有額の平均と中央値は下記のようになりました。

金融資産保有額 平均 中央値
40代 942万円 550万円
60代 1849万円 1000万円

中央値とはデータを大きい順に並べたときに真ん中に来る数字です。平均は大きな数字に引きずられやすいため、中央値のほうが実態に即しているかもしれません。

60代における金融資産保有額の平均は1849万円。40代と比べると900万円以上多くなっています。中央値も1000万円と高額です。

本調査における「金融資産」とは、運用または将来に備えて蓄えている部分を指します。上記のデータには金融資産を保有していない世帯も含みます。

■貯蓄額のボリュームゾーンは?

40代のボリュームゾーンは金融資産保有額500~1500万円未満の範囲となり、全体の30.4%がこのゾーンに該当します。60代の場合は3000万円以上の人が最も多く、18.6%を占めています。

■貯蓄額が増える理由は退職金

60代で資産が増える原因の1つに退職金があるでしょう。退職金制度は企業の義務ではありませんが、広く取り入れられています。厚生労働省が公表した「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」によると、退職給付(一時金・年金)制度があると答えた企業の割合は80.5%です。

■大企業の退職金は約2000万円

退職金の支給額は大企業と中小企業で大きく違います。日本経済団体連合会が2019年に公表した「2018年9月度退職金・年金に関する実態調査結果」は大企業の退職金を知るのに役立ちます。データの81.0%を従業員500人以上の企業が占めているからです。

本調査では、「学校卒業後直ちに入社し、その後標準的に昇進・昇格した者」をモデルケースとして「標準者退職金」を算出しています。


標準者退職金の支給額(総額)
管理・事務・技術労働者
(総合職) 生産・現業労働者
大学卒 2255.8万円 -
高校卒 2037.7万円 1817.2万円

大企業では2000万円前後の退職金が支給されていることがわかります。

■中小企業の退職金は

東京都産業労働局がまとめた「中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)」によると、中小企業のモデル退職金は下記のようになっています。

モデル退職金(卒業後すぐに入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準)
大学卒 1203.4万円
高校卒 1126.8万円

中小企業の退職金は1100~1200万円ほど。大企業と比べると1000万円ほどの差があるようです。

■新社会人になったら資産形成を意識しよう

若いうちにお金を貯める習慣を身につけておくことは非常に大切です。高齢になってから新しい習慣や考え方を習得するのは簡単ではありません。

新社会人になったら、貯蓄についても真剣に考えはじめましょう。「仕事を覚えるのに手一杯」と感じている人もいるかもしれませんが、結婚や老後に向けた資産形成を始めるのに「早すぎる」ということはありません。思っている以上に時間は駆け足で過ぎ去ります。

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