3. 年金に関するよくある誤解②「日本の年金制度はいずれ破綻する?」
日本の公的年金制度には、「マクロ経済スライド」という給付額を自動調整する仕組みが備わっています。
これは、社会情勢の変化(現役世代の人口減少や平均寿命の延びなど)に合わせて年金の給付水準を調整し、制度の持続可能性を長期的に確保するためのものです。
加えて、年金給付額は賃金の変動率や就業者数の増減といった経済状況とも連動しています。このように、制度全体でバランスを取りながら運営される設計になっているため、単純に破綻するような仕組みではないといえます。
4. 年金に関するよくある誤解③「支払った保険料の元は取れない?」
「自分が支払った保険料の総額よりも、将来受け取る年金額のほうが少なくなるのではないか」という、いわゆる「元が取れない」という懸念も根強くあります。
しかし、公的年金は老後の生活資金を保障するだけでなく、病気やけがで障害が残った場合の「障害年金」や、一家の働き手が亡くなった場合に家族を支える「遺族年金」も含まれる、総合的な社会保険制度です。
その財源は、現役世代が納める保険料で高齢者世代の年金を支える「世代間扶養」という考え方に基づいています。
さらに、公的年金には所得再分配の機能も備わっています。
これにより、現役時代の収入に差があっても、受け取る年金額の格差が極端に大きくならないように調整されています。
こうした点から、公的年金は個人のための貯蓄というより、社会全体で支え合う「生涯にわたる保険」としての性格が強い制度といえるでしょう。
5. 年金の現状と制度の仕組みを正しく理解しよう
本記事では、厚生年金の受給額の実態と、年金制度にまつわる一般的な誤解について解説しました。
平均受給額は約15万円であり、月額20万円以上を受け取っている人は全体の2割弱という現状が見えてきました。
また、保険料には上限が設定されており、制度自体も自動調整機能によって持続可能性が保たれるよう設計されています。
公的年金は、老後の生活費だけでなく、万一の障害や死亡に備える保障という側面も持っています。
このような制度の仕組みを正しく理解することは、ご自身のライフプランをより現実的に考える上で役立つはずです。
定期的に「ねんきん定期便」に目を通し、ご自身の状況を確認しながら、老後資金や資産形成について具体的に検討してみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しー令和6(2024)年財政検証結果 ー」
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料②ー年金額の分布推計ー」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料①」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- LIMO来月4月は《厚生年金》支給日!いちどに「40万円(月20万円)以上」もらう人は何%?
長井 祐人


