飲食業で自分の店を開きたい! そんな起業相談を多くいただきます。飲食店を開くための準備としては創業融資などの資金調達と並び、保健所への「飲食店営業の許可」申請も関門のひとつになります。どのように手続きを行うのか、手続きの流れを見ていきましょう。
1. 保健所に事前相談をする
飲食店営業許可は保健所が窓口となります。出店予定地を管轄する保健所で事前相談をしましょう。相談は店舗の図面が出来上がってからというのが良いタイミングです。
手書きの簡単なもので大丈夫ですが、より正確なアドバイスを受けるには完成予定図面の方が具体的な話になりやすく、図面に基づいて設備として不足する物や配置などをアドバイスしてくれます。また許可手続きの流れ、その他の注意点を教えてもらえます。
2. 店舗ができたら、営業開始予定の10日前には許可申請をする
営業許可申請書や設備の大要・配置図などを保健所に提出します。これらの申請書類は保健所でもらえます。
3. 申請に基づく保健所の立ち入り調査
施設検査のポイントを一言でいうと、
- 清潔で安全な施設であるかどうか。壁や天井が清掃をしやすい構造であるか
- 手洗い設備があるか
などですが、飲食店を含むすべての食品関係の業種に必要な「共通基準」と、十分な冷蔵設備がある、洗浄槽は2槽以上あるといった飲食店向けに定められた「特定基準」に基づいて行われます。
これらの施設基準に適合しない場合は許可されません。指摘事項を改善してから、再度許可申請となってしまいます。事前確認を行っているとこのような改善工事を未然に防げます。
4. 飲食店開業に関連する2つの資格
食品衛生責任者
食品衛生責任者とは、食品衛生上の管理運営を行う人です。飲食店を開業する場合、店舗ごとにオーナー自らが食品衛生責任者となるか、店舗の従業員のうちに食品衛生責任者が1人いなければなりません。
食品衛生責任者になるには、各地の食品衛生協会の行う講習会を受講します。東京都の場合は、(社)東京都食品衛生協会が都内11か所ほどの会場で毎月開催しています。昼休みの休憩をはさんで6時間の講義です。なお、調理師や栄養士の資格を持っていれば、自動的に食品衛生責任者になれます。
防火管理者
防火管理者とは、多数の人が利用する建物などの「火災による被害」を防止するため、防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理上必要な業務(防火管理業務)を計画的に行う責任者をいいます。
飲食店の場合、店舗の収容人数が30人以上の場合、防火管理者が必要となります。30人以上の場合で店舗の延べ床面積が300㎡未満の場合は乙種防火管理者の届け出が必要で、300㎡以上の場合は甲種防火管理者の届け出が必要です。
飲食店開業の際には、許認可に詳しい行政書士など起業の専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
中野 裕哲