春の暖かさが感じられる日が増え、新しい年度の始まりが近づいてきましたね。

セカンドライフの計画を立てる中で、年金収入だけで生活していけるのか、少し不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

実は、公的年金に加えて、所得が一定基準額以下の方々の生活を支えるための「年金生活者支援給付金」という制度があるのをご存じでしょうか。

この制度は、年金の受給額だけでは生活費をまかなうのが難しい場合に、心強い味方となってくれます。

この記事では、2025年度の情報を基に、どのような方が対象になるのか、いくら受け取れるのか、そして手続きはどのように進めるのか、といった基本的なポイントを一つひとつ丁寧に解説していきます。

年金に上乗seされる「年金生活者支援給付金」の概要

年金受給者の生活を支えることを目的に、2019年に年金生活者支援給付金制度が創設されました。

受給要件を満たした対象者には、2カ月に1回、公的年金の支給日にあわせて年金生活者支援給付金が振り込まれます。

年金生活者支援給付金には3種類があり、受給する基礎年金の種類に応じて「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」にわかれます。

それぞれの所得要件を満たす基礎年金受給者が、この給付金の対象となるということです。

年金生活者支援給付金を受け取るための支給要件とは

本章では、気になる「年金生活者支援給付金の支給要件」について深堀していきましょう。

障害・遺族年金生活者支援給付金の対象となる方

まず、「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」はそれぞれの年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)を受給中であることと、前年の所得が479万4000円以下であることが条件となります。

このときポイントとなるのが、「所得には障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれない」という点です。

扶養親族などの数に応じて、所得の基準額があがる点も押さえておきましょう。

老齢年金生活者支援給付金の対象となる方

年金生活者支援給付金制度について2/9

年金生活者支援給付金制度について

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

一方、老齢年金生活者支援給付金の支給対象は少し異なり、下記の支給要件をすべて満たす必要があります。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得など)との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下

「老齢年金生活者支援給付金」については、本人の所得以外の要件も加わることに注意しましょう。なお、老齢年金生活者支援給付金の判定にも、障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。

また「基準額ギリギリで給付対象となる人」との間に不公平感が生じないように、「基準額をわずかに超えて給付対象外となる人」には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

対象となるのは、「昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方」、「昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方」です。

【2025年度版】年金生活者支援給付金の給付額はいくら?

年金生活者支援給付金の給付額は、前年の物価変動率にもとづき決定されます。

2025年度では前年に比べ+2.7%の増額となりました。

2025年度における給付額の具体的な金額

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5450円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級6813円・2級5450円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5450円

老齢年金生活者支援給付金のみ、「基準額」であることに注意が必要です。

実際には「月額5450円」を基準として、「保険料納付済期間や免除期間」に応じて支給額が計算されます。

給付金を受け取るための手続きの流れ

では、給付金をもらうにはどのような手続きが必要なのでしょうか。

年金生活者支援給付金4/9

年金生活者支援給付金

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金」

「手続きが漏れそうで不安」という方もいると思いますが、年金生活者支援給付金の支給対象と判定された人には、日本年金機構から請求書が届きます。

基本的には、書類に必要事項を記入して返送するだけで手続きが完了するので安心しましょう。

ただし、対象となる人の年金受給状況によって、書類形式や手続きタイミングが異なります。ここでは、3つのケースに分けて手続き方法を確認していきます。

ケース1:これから老齢年金の受給を開始する方(緑色の封筒)

そもそもまだ年金を受給していないという人には、受給開始となる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」が送られてきます。

このとき、「年金生活者支援給付金請求書」が同封されています。

必要事項を記入し、年金の請求書とともに「年金生活者支援給付金請求書」を提出しましょう。ただし、請求書は年金受給開始年齢に到達する誕生日の前日からしか提出できないことに注意が必要です。

ケース2:すでに年金を受給中の方(うす緑色の封筒)

年金生活者支援給付金請求書の封筒6/9

年金生活者支援給付金請求書の封筒

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)送付用封筒」

すでに基礎年金を受給中という人も、所得の変動により新たに年金生活者支援給付金が受け取れることがあります。

このような人を対象に、毎年9月1日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)7/9

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)

出所:日本年金機構「令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」

必要事項を記載したら同封の目隠しシールを貼り、差出人欄に住所・氏名を記載したうえで、切手を貼ってポストに投函しましょう。

※支給要件に該当するか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)および所得情報等を確認するための所得状況届が届きます。

ケース3:老齢基礎年金を繰上げ受給している方(うすだいだい色の封筒)

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用8/9

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用

出所:日本年金機構「65歳の誕生日を迎えた方で、老齢基礎年金を繰上げ受給している方」

最後に、老齢基礎年金を繰上げ受給中の方のケースを確認しましょう。

年金生活者支援給付金の受給権が発生すると見込まれる場合、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの方は前月の初旬)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されてきます。

書類が届いた場合、必要事項を記載した上で同封の目隠しシールを貼り、切手を貼ってポストに投函しましょう。

※支給要件に該当するか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)および所得情報等を確認するための所得状況届が届きます。

最初こそ手続きが必要となりますが、その後は支給要件を満たす限り継続して受け取れます。

もし支給要件を満たさなくなった場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き、給付金の支給は停止されます。

なお、2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき)」が届いた人は、「電子申請による提出」もできるようになっています。

電子申請により提出した場合は、郵送による提出は不要です。

データで見るシニアの生活実態:公的年金への依存度

年金だけで生活している高齢者世帯は、実は多くありません。

厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、その割合は43.4%であることがわかっています。

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成9/9

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成

出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況

  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%

残りの56.6%の高齢者世帯は、公的年金や恩給以外の所得で生活費を補填していることがわかります。

公的年金のみで生活できない可能性も念頭に置いて、老後計画を立てる必要があるといえるでしょう。

まとめ

今回は、公的年金とあわせて受け取れる可能性がある「年金生活者支援給付金」について、2025年度の情報を中心にご紹介しました。

老齢・障害・遺族といった基礎年金の種類に応じて、それぞれ給付金の対象となる方の条件が定められています。

特に大切なのは、対象となる方には日本年金機構からお知らせや請求書が届くという点です。

もしご自宅にそれらしき封筒が届いた際には、見過ごさずに中身をしっかりと確認し、忘れずに手続きを進めることが重要になります。

ご自身が対象になるかもしれないと感じた方は、一度、日本年金機構のウェブサイトなどで最新の情報を確認してみてはいかがでしょうか。

こうした制度を上手に活用することが、これからの暮らしの安心につながるかもしれません。

参考資料