日本には約4万5千人のこどもが親子では暮らせない寂しい生活をしているといいます。そこにはさまざまな理由が存在しておりますがその中の8割のこどもが施設で暮らしております。ところが欧米は家庭で暮らすこどもが約8割で2割のこども施設で暮らしています。国は2016年にこうした児童福祉法の現状を変えていこうと改正を行いました。
■戸籍は「養子」ではなく「長男」「長女」と記載されます
精神的にも肉体的にも追い込まれた母親に対し、相談できたりサポート体制が整っている事を知らせたりすることで、赤ちゃん縁組という方法もあることを知って貰えれば、もっと救えた命があったかもしれないとの思う思いから、生みの親から育ての親への橋渡しをするのが家庭養育優先原則なわけです。
「里親」とは家庭で生活できなくなった子供を預かり、温かい愛情と家庭的な雰囲気の中で養育してくれるやり方です。新設された「特別養子縁組」とはこどもと生みの親との法律的関係は終了して、戸籍欄は「長男、長女」といった記載のされ方をします。これまでは「養子」と記載されていた関係でしたから、これからは養親からのこどもに対する離縁はできないということになります。
■子どもたちへの支援のあり方を考える
欧米では家庭で暮らすこどもが8割ですから日本のような集団型施設養護を少しでも改善したいとの思いから「特別養子縁組」をするにあたり民法制度では6歳未満の子どもが対象でしたが15歳未満の子どもに引き上げる検討を進めています。
2017年の社会的養育ビジョンでは、特別養子縁組をこれから5年以内に年間1,000件以上に増やす目標を掲げております。この数字は現在の約2倍の数になりますので非常に注目されています。
そんな中で注目されるのが愛知県でしている方法です。これまでの多くの場合では赤ちゃんはまず乳児院に入所し、その後から「育ての親」へと引き取られていくのですが、「愛知方式」の場合は子どもを乳児院で育てた後からではなく、時間をあまりかけないで短い間に「育ての親」へと託され新しい家族が誕生するというやり方です。
■新しいお母さん・お父さんに大事に迎えられる
「愛知方式」の良いところは、出産したお母さんから生まれて、すぐに新しい両親に大事に迎えられることで、早くその子どもとの愛着関係が作りやすいことが上げられます。この発想は養親さんも赤ちゃんも皆が幸せになれるプラス思考から生まれたものです。
そのために愛知県では赤ちゃん縁組をする際には新しいご夫婦さんに対しては厳しい心構えを求めています。そこで特別養子縁組に対する確認を書面で取り交わすことにしています。子どもの性別がどちらであっても、例え障害が合っても病気の有無で選ぶことはできない事になっています。それと裁判所の審判が確定する前に「実親の同意が得られなかった場合」には、子どもは返さなければならないことになっています。
その前に新しい家族を作るご夫婦さんは事前に児童相談所が行う研修にも参加をして心構えを刻んでいくことになります。その後乳児院を訪れた際の子どもたちの「親の愛情」をほしがっている姿を見ると「何とかしなければ」という思いが先になるのが人情なのではないかと思います。