まず3つの能力から構成されている「社会人基礎力」を要素分解した項目数を見てほしい。

「1.前に踏み出す力」と「2.考え抜く力」は3つずつ、「3.チームで働く力」は6つに要素分解されている。比率で言うと、1:1:2になる。

これは何を意味しているのだろうか。経済産業省としては、この3つの能力のうち、とくに「3.チームで働く力」を重要視しているということが読み取れるのではないだろうか。

これを日本の企業も無視するわけにいかず、基本的にはこの配分で面接評価シートを作成する。その上で、業界により点数配分を修正したり、事業内容によって新たな評価項目を付け加えるなど、微調整をしていく企業が多い。

どのように微調整するのか

微調整の仕方は企業によって異なるが、それでも業界や職種によって、大まかな微調整の方向性を推測することはできるだろう。

例えば、コンサルティング企業であれば、「2.考え抜く力」に大きなウエイトを置くだろうし、営業に注力している販売企業であれば、「1.前に踏み出す力」に重点を置くことになるだろう。

また、新規事業を立ち上げる際の面接であれば、新規事業立ち上げに必要な力としての「情報収集力」や「論点思考力」、「ドキュメンテーション力」、「プレゼンテーション力」などを加える企業もある。

就活生や転職志願者は、このような推測を自分なりにしてみる必要があるだろう。その上で、OBOG訪問時や人事部の人と直接会う機会を探し、どの能力を重要視しているか、直接サウンディングしてみるのが賢明である。

無名大学、無名企業出身者が次々と難関企業の内定を勝ち取っている理由

無名大学に通っていても、無名企業に勤めていても、難関企業の内定を勝ち取っているケースが最近よく見受けられる。

彼らはどのような対策を行い、競争を勝ち抜いているのだろうか。

まずOBOG訪問や人事部主催のイベント参加時に、この「社会人基礎力」の項目を印刷していき、「貴社はこの社会人基礎力の中でどの項目を重視している会社ですか、またここには無い重視している能力はありますか?」

と直接確認して、それに対する対策を練っている就活生・転職志願者が増えてきている。

彼らは企業側が求めている人物像に合わせたアピールを面接で行うので、面接官は評価項目を見ながら、高得点をマークするのである。

その結果、無名大学でも無名企業でも、高得点のため内定を出さざるを得ないのである。

孫氏の名言である、「彼を知り、己を知れば百戦殆からず」の「彼を知る」にフォーカスした動きが、就活生や転職志願者の間で出始めている。これは企業側からしても、ウェルカムなことではないだろうか。

【参考資料】

人生100年時代の社会人基礎力について』経済産業省

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