3. 医療費が3割負担になる「年収383万円・520万円の壁」とは?
75歳からの後期高齢者医療制度で、医療費の自己負担割合が3割になるかどうかについては、「年収383万円・520万円の壁」が関係しています。
前章で確認したように、自己負担割合が3割になるのは、「課税所得が145万円以上」という所得要件があります。
年金の課税所得とは、年金収入から「公的年金等控除」や「基礎控除」といった所得控除を差し引いた金額のことで、年収とは異なるものです。
この「課税所得145万円」を年収ベースで見ると、単身者の場合は約383万円、複数人世帯の場合は約520万円が目安になります。
つまり、単身世帯では年収が約383万円以上に、また、複数人世帯では約520万円以上になると医療費の自己負担割合が3割になる可能性があるということです。
3.1 年金収入だけの場合は3割負担はごく少数
75歳以上で収入が年金のみの場合、3割負担になる可能性がある方はごく一部に限られます。
年収約383万円は、月額に換算すると約31万9000円です。
これだけの年金額を受給できる方はどのくらいいるのか、厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」で確認してみましょう。
- 1万円未満:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上:1万9283人
※:上記厚生年金受給額には国民年金分も含まれる
30万円を受給しているのは、厚生年金受給権者のうち1万9283人となっており、わずか0.12%です。
さらに、国民年金のみを受給している方をプラスすると、その割合はさらに少なくなると考えられます。
ただし、年金以外の所得がある場合は、年金収入が383万円に達しなくても自己負担割合が大きくなる可能性があることに注意しましょう。
4. まとめ
75歳からの後期高齢者医療制度で自己負担割合が3割になる可能性があるのは、年収が単身世帯では約383万円以上に、複数人世帯では約520万円以上になる場合です。
収入が年金のみであり、平均的な受給額であれば3割負担になる心配は少ないですが、年金以外の所得がある場合はこの限りではなく、自己負担割合が大きくなる可能性があります。
医療費の支払いに困ることのないよう、現役時代のうちから高齢期の医療費の準備を心がけることが大切です。
参考資料
木内 菜穂子
