社員思いの企業なら、福利厚生として金融教育を考えるべき

社員に金融教育をすることは、最高の福利厚生の一つだ、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は説きます。

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金融庁の「老後2千万円報告書」が大きな反響を呼びました。専門家の間では「当然の内容」と思われていることがこれほど大きな反響を呼んだということは、「世の中の人々が老後資金や年金等のことをよく知らない」ということを意味しています。

政府や学校等々が広く国民に金融教育をすることが求められるわけですが、筆者が注目しているのは、企業が福利厚生として行う「社員向けの金融教育」です。

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多くの企業は社員向けに様々な福利厚生を提供していると思いますが、住宅手当や配偶者手当等々と比較して、はるかにコストパフォーマンスが良いと思いますので、ご検討いただければと思います。

まずは、各自が老後資金のイメージを持つことが重要

会社の仕事に関しては大変優秀で何でも知っている人が、自分の老後資金については何も知らない、という例は多いと思います。

まずは、老後資金について知り、考え、自分の老後資金が足りるのか否かを認識してもらう機会を作りましょう。足りているならば、無用な不安を感じる必要はありませんし、社員が不安から変な投資商品に手を出したりするリスクも軽減できるでしょう。

一方で、仮に足りていないなら節約する等々の対策が取れますから、どちらにしてもまずは事実認識が重要です。

まずは、社員を集めて以下の質問をしてみましょう。

自分が65歳になった時の貯蓄額はいくらくらいだか、わかりますか? 今の貯蓄残高と、今後の毎月の貯蓄額と、退職金の額と、退職から65歳までの収入と支出を考えればわかりますね。

65歳から年金生活に入ると思いますが、毎月の生活費と年金支給額の差額を貯蓄残高から引いて行くと、90歳時点で何円残る計算ですか?

計算してみたことがない、という方は、ぜひ一度、計算してみてください。90歳の段階で葬式代が残っているのか否か、というのが一つの目安ですね。「老後資金が不安だ」と言いながら、こうした計算をしていない人が多いと思いますから、ぜひ。

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塚崎 公義

1981年 東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行
おもに経済調査関連業務に従事した後、2005年に退職し、久留米大学へ。
現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と関係なく個人として行なっているため、現職は経済評論家と表記したものである。
(近著)
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(雑誌寄稿等)
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