4. ライフコースで見る厚生年金と国民年金の支給額モデル
年金の受給額は個人差が大きいため、平均額だけでは実態を把握しきれない部分があります。
「自分は将来いくらくらい年金をもらえるのだろう」と考える際の参考として、ここではライフコース別の目安額をご紹介します。
厚生労働省が2026年1月23日に公表した資料「多様なライフコースに応じた年金額の例」を基に見ていきましょう。
この資料では、年金の加入経歴を5つのパターン(男性2つ、女性3つ)に分け、それぞれの年金額の概算が示されています。
4.1 ケース①:男性・主に厚生年金に加入
年金月額:17万6793円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円(賞与を含む月額換算。以下同様)
- 基礎年金:6万9951円
- 厚生年金:10万6842円
4.2 ケース②:男性・主に国民年金(第1号被保険者)に加入
年金月額:6万3513円
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36万4000円
- 基礎年金:4万8896円
- 厚生年金:1万4617円
4.3 ケース③:女性・主に厚生年金に加入
年金月額:13万4640円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円
- 基礎年金:7万1881円
- 厚生年金:6万2759円
4.4 ケース④:女性・主に国民年金(第1号被保険者)に加入
年金月額:6万1771円
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25万1000円
- 基礎年金:5万3119円
- 厚生年金:8652円
4.5 ケース⑤:女性・主に国民年金(第3号被保険者)に加入
年金月額:7万8249円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26万3000円
- 基礎年金:6万9016円
- 厚生年金:9234円
これらのモデルケースから、厚生年金の加入期間の長さや現役時代の平均収入が、将来の年金月額に大きく影響することがわかります。
特に、現役時代に国民年金と厚生年金のどちらを主として加入していたかによって、老後の受給額に大きな差が生まれることが見て取れます。
5. 公的年金のみで生活する高齢者世帯の現状
現在の高齢者世帯のうち、どのくらいの割合が「年金収入のみ」で生活しているのでしょうか。
厚生労働省の『2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況』によると、高齢者世帯(※)の平均的な所得のうち、「公的年金・恩給」が63.5%を占めています。
次いで、仕事による収入である「稼働所得」が25.3%、「財産所得」が4.6%と続きます。
さらに「公的年金・恩給を受給している世帯」に限定して見ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯は43.4%にのぼります。
※高齢者世帯とは、65歳以上の人のみで構成されるか、またはこれに18歳未満の未婚の人が加わった世帯を指します。
5.1 総所得に占める公的年金・恩給の割合ごとの世帯構成
- 総所得に占める公的年金・恩給の割合が100%の世帯:43.4%
- 総所得に占める公的年金・恩給の割合が80~100%未満の世帯:16.4%
- 総所得に占める公的年金・恩給の割合が60~80%未満の世帯:15.2%
- 総所得に占める公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
- 総所得に占める公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
- 総所得に占める公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
このデータから、半数以上の世帯が公的年金以外の何らかの収入によって生活を補っている実態がうかがえます。
6. まとめ
この記事では、日本の公的年金制度の基本から2026年度の最新情報、そしてライフコース別の受給額モデルまで、幅広く解説しました。
データが示すように、年金の受給額は現役時代の働き方や加入歴によって大きく異なります。
また、高齢者世帯の約半数が年金以外の収入を得て生活しているという実態も、これからのライフプランを考える上で重要な視点となるでしょう。
ご自身の年金記録や将来の受給見込み額を正確に把握することが、豊かなセカンドライフに向けた第一歩です。
日本年金機構の「ねんきんネット」などを活用して、一度ご自身の状況を確認してみてはいかがでしょうか。
将来の生活設計を具体的に考える良い機会になるかもしれません。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「II 各種世帯の所得等の状況」
- 総務省「労働力調査(基本集計) 2026年(令和8年)5月分結果」
中本 智恵

