2026年3月も下旬となり、年度末の慌ただしい時期を過ごしている方も多いのではないでしょうか。退職や再就職、年金の受給開始など、ライフステージに変化が訪れるタイミングでもあります。

このような節目の時期に、ご自身が利用できる公的な制度について再確認しておくことが大切です。

老後の生活を支える収入源として公的年金は広く知られていますが、実はそれ以外にも受け取れる可能性がある公的給付金が存在します。

しかし、これらの給付金の多くは、自分で申請手続きをしないと支給されない「申請主義」がとられています。そのため、制度の存在を知らないままだと、本来受け取れるはずのお金を見逃してしまうかもしれません。

具体的には、配偶者がいる場合に受け取れる「加給年金」や、所得が一定基準以下の年金受給者を支える「年金生活者支援給付金」、働くシニアを対象とした雇用保険の給付などが挙げられます。

この記事では、60歳や65歳以上のシニア世代が対象となりうる「年金以外の公的給付」の中から、代表的な5つの制度について詳しく解説していきます。

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1. 【シニア世代の盲点】申請しないともらえないお金は意外と多い

公的年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)は、生活を支える重要な社会保障制度です。

しかし、受給要件を満たしても自動的に支給が開始されるわけではありません。年金を受け取るには、ご自身で「年金請求書」を提出し、請求手続きを行う必要があります。

同様に、国や自治体が提供する「手当」「給付金」「補助金」といった支援策の多くも、申請手続きが必須です。

もし申請期限を過ぎてしまったり、必要な書類がそろっていなかったりすると、受け取れるはずだった給付が減額されたり、最悪の場合は受け取れなくなったりすることもあります。

公的な支援制度を有効に活用するためには、どのような制度が利用できるのかを把握し、定められた手続きをきちんと行うことが重要です。

2. 老齢年金に上乗せも!対象者が受け取れる2つの給付制度

老齢年金を受給しているシニアの方が、特定の要件を満たすことで、通常の年金額に加えて受け取れる給付金が2種類あります。ここでは、その内容について見ていきましょう。

2.1 年金の家族手当ともいわれる「加給年金」

加給年金は、しばしば「年金の扶養手当」や「家族手当」のようなものと説明される制度です。

老齢厚生年金を受給している方が、一定の条件を満たす年下の配偶者や子どもを扶養している場合に、年金額が上乗せされます。

加給年金の支給要件

  • 厚生年金の被保険者期間が20年(※)以上ある方:65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)
  • 65歳に到達した後(または定額部分の支給開始年齢に達した後)に、被保険者期間が20年(※)以上になった方:在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)

(※)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年

上記のいずれかのタイミングで、「65歳未満の配偶者」や「18歳に達する年度の末日までの子」、または「1級・2級の障害状態にある20歳未満の子」がいる場合に、年金が加算されます。

ただし、対象となる配偶者が、被保険者期間20年以上の老齢厚生年金や組合員期間20年以上の退職共済年金を受け取る権利を持っている場合や、障害年金などを受給している場合は、配偶者加給年金額は支給されません。

【2025年度】加給年金の支給額

2025年度における「加給年金」の年金額は、以下の通りです。

  • 配偶者:23万9300円
  • 1人目・2人目の子:各23万9300円
  • 3人目以降の子:各7万9800円

また、老齢厚生年金を受給している方の生年月日に応じて、配偶者加給年金額には3万5400円から17万6600円の特別加算が上乗せされます。

振替加算について

加給年金の対象である配偶者が65歳に達すると、加給年金の支給は終了します。しかし、その配偶者が自身の老齢基礎年金を受給する際に、特定の条件を満たしていれば、その老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされる仕組みがあります。

2.2 低年金の方を支援する「老齢年金生活者支援給付金」

年金生活者支援給付金は、基礎年金を受給している方のうち、所得が一定の基準を満たさない場合に支給される給付金です。この制度には「老齢」「障害」「遺族」の3種類があり、それぞれに支給要件が定められています。

今回は、この中の「老齢年金生活者支援給付金」に焦点を当てて解説します。

老齢年金生活者支援給付金の支給要件

  • 65歳以上で、老齢基礎年金を受給している方
  • 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)と、それ以外の所得の合計額が、以下の基準を満たしていること
    • 昭和31年4月2日以降に生まれた方:80万9000円以下
    • 昭和31年4月1日以前に生まれた方:80万6700円以下(※2)

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額4/8

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

2026年度の老齢年金生活者支援給付金における給付基準額は、月額5620円です。これは前年度から3.2%の増額となります。

実際の給付額は、この基準額をベースに、保険料の納付状況などに応じて計算されます(以下の①と②を合計した額)。

老齢年金生活者支援給付金の計算方法

  • ①保険料納付済期間に応じた額(月額) = 5620円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480カ月
  • ②保険料免除期間に応じた額(月額) = 1万1768円× 保険料免除期間 / 被保険者月数480カ月

なお、保険料免除期間に乗じる金額は、毎年の老齢基礎年金額の改定に伴って変動します。