富裕層と聞いて、どのような人々を思い浮かべますか。どこに住んでいて、どのくらい資産を持っているのでしょう。富裕層には歴史ある名家の一族もいますし、資産運用で大きな富を得て富裕層化している人々もいます。彼らの姿を探ってみましょう。
富裕層の生活とは
富裕層の居住地として有名なのは、都内でいうと渋谷区神山町エリアや赤坂、文京区の本駒込などの高級住宅街です。古くから居宅を所有している富裕層はこのような閑静な住宅街に住む人が多く、財界人を含め著名な方々も居住しています。
富裕層の人々の特徴として、第一に、人物そのものが特別な空気をまとっているという点があります。真の富裕層の人々は、シンプルで質の高い製品を身につけ、心身ともに安定しています。言動や見た目にお金の雰囲気を感じないのです。
そして、周囲や流行に左右されない広い視野を持っている点があります。静かな思想を持ち、重視すべきことがはっきりしています。企業や業界のマネジメントを執る人物が多いのも、このような特徴を持つからなのでしょう。
日本の「超」富裕層、50億円以上の純資産を持つ人は何人いる?
世界有数の金融機関であるクレディ・スイスが発表した「2018年 グローバル・ウェルス・レポート」によると、5000万米ドル(約55億円)以上の純資産(資産から負債を引いたもの)を有する「超富裕層」の日本人は3580人、世界で5番目となっています。
また、100万米ドル(約1億1000万円)以上の資産保有者としては、1位アメリカ(1,735万人)、2位中国(348万人)に次いで、日本は3位の280万人。つまり日本の人口の約2% *1 となります。ほんの一握りの人々なのですね。
*1 総務省統計局の「人口推計」によると、2018年の日本の総人口は1億2623万人。総務省統計局 「人口推計(平成30年(2018年)11月確定値,平成31年(2019年)4月概算値)」(2019年4月22日公表)
富裕層の資産構成
富裕層の人々は所有資産をどのように運用しているのでしょうか。仏コンサルティング大手の「キャップジェミニ」によると、富裕層の資産構成は以下のようになっています。
• 株式:31%
• 現金及び現金同等物:27%
• 不動産(住居を除く):17%
• 債券:16%
• オルタナティブ投資:9%
不動産や株式を大量に保有しているイメージもありますが、株式については約3割。一般家庭と比べると高い割合ですが、一方で「現金及び現金同等物」つまり預貯金も3割ほど確保していることが分かります。
投資としては「株式」「オルタナティブ投資」で約4割。国債や社債などの「債券」は値動きが予想しやすく安定的ですので、貯蓄と投資のバランスを取りながら、リスク分散をしていることが分かります。
世界の富裕層が導入している「国際分散投資」とは?
資産のバランスやリスク分散方法としては「分散投資」「長期投資」が一般的となっています。「分散投資」とは異なる産業・銘柄に分散して投資する方法で、範囲の広い「国際分散投資」が注目されています。
日本の国内株には安心感がありますが、株価の成長という点では、大きな結果を期待できるとは言い切れません。例えば米国株の場合、上下変動はあるものの、ITバブル崩壊、サブプライムローンバブルやリーマンショックなども乗り越えながら、年々拡大しています。投資は決して元本が保証されているものではありませんが、投資先の選定によって大きな成長が見込めるのです。米国株はピンチを数多く経験しながらも拡大していく「成長株」だと言えるでしょう。
バランス型ファンド
最近ではインデックスファンドなど投資信託商品が数多く開発され、国際的な分散投資も小額から購入できるようになっています。外国株を個人で選ぶことは難しいものですが、豊富なデータを有する金融機関が組み立てた商品を、毎月積み立て型で購入することも可能です。資産形成を始めたい人にとって、取り組みやすい方法だと言えるでしょう。
さいごに
金融商品も多様化し、購入しやすい環境が整っています。運用によっては若い世代でも富裕層の仲間入りを果たしている人々もいます。資産運用の方法などを参考にしてみると、大きな勉強になりそうです。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
LIMO編集部