4. 【70歳代シニア】1カ月あたりの生活費の平均はいくら?
70歳代のシニア世帯は、年金を中心とした収入で毎月の生活費をまかなえているのでしょうか。それとも赤字になっているのでしょうか。実際の家計状況をデータで確認してみましょう。
総務省統計局の調査によると、世帯主が70〜74歳の二人以上無職夫婦世帯のひと月あたりの収支は下のとおりです。
4.1 70~74歳の二人以上無職世帯の支出(月額)
実収入: 28万7725円(うち社会保障給付が22万4980円)
実支出:32万4971円(※消費支出と非消費支出の合計)
- 消費支出:28万5844円
- 非消費支出(税・社会保険料など): 3万9127円
年金を含めた平均収入が月28万8000円程度であるのに対し、支出全体の平均は月32万5000円程度です。単純に差し引きすると、毎月約3万7000円の赤字となります。
また、参考としてシニア層(65歳以上の夫婦のみの無職世帯)の一般的な支出内訳を見ると、消費支出のうち食費(約7万9000円)が最も大きな割合を占めています。次いで交通・通信費(約3万1000円)、教養娯楽費(約2万7000円)が続き、日々の暮らしにかかる費用が積み重なっていることがわかります
この結果から、多くの世帯では年金収入だけでは支出をまかないきれず、貯蓄を取り崩しながら生活している実態が見えてきます。
5. FPの筆者からのアドバイス
統計データからもわかるように、70代の家計は年金だけでは毎月数万円の赤字となり、貯蓄を取り崩して生活するケースが一般的です。しかし、ここで重要なのは「毎月の生活費による赤字」と「医療・介護・自宅修繕などの特別支出」を分けて捉えることです。
日常の赤字(月約3.7万円)は年間約44万円、10年で約440万円の取り崩しとなります。中央値(1178万円)ほどの貯蓄があれば日常の赤字自体は耐えられますが、急な医療費や介護費用などの特別支出が重なると、一気に資金が枯渇するリスクが高まります。
資金寿命を延ばすためには、スマホ代や保険料などの固定費見直しはもちろん、体調が許せば月数万円程度のシニア就労を検討したり、70代からでもリスクを抑えた資産管理を行うことが有効です。「平均値」に惑わされず、ご自身の特別支出リスクを見込んだ「現実的な資産延命計画」を立てていきましょう。
6. 必要な貯蓄額は人それぞれ
ここまで見てきたように、70歳代の貯蓄額や年金受給額、毎月の収支は世帯によって大きく異なります。
また、住まいが持ち家か賃貸か、退職金の有無、医療費や介護費の負担、どのような生活水準を望むかによって、必要となる貯蓄額は変わります。平均や中央値はあくまで目安です。
他の世帯と比べるのではなく、自身の収支バランスと今後の見通しを踏まえ、無理のない資金計画を立てることが大切です。
参考資料
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査2025年」
- 厚生労働省年金局「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」
苛原 寛
