厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯のうち「生活が大変苦しい」と感じている世帯は21.0%、「やや苦しい」と回答した世帯は31.1%にのぼります。

では、実際の70歳代シニアはどのくらいの貯蓄を保有し、年金を毎月いくら受け取り、1カ月あたりの生活費はいくらかかっているのでしょうか。

本記事では、70歳代シニアの「貯蓄額」「年金月額」「1カ月あたりの生活費」について、最新の公的統計をもとにわかりやすく解説します。高齢者世帯のお金事情を具体的な数字で確認し、ご自身やご家族の家計と比較する際の参考にしてください。

苛原 寛

 

【FP解説】なぜ今、高齢世帯の「リアルなデータ」を知る必要があるのか?

「平均や統計を見ても、自分とは違うから意味がないのでは?」と思われるかもしれません。確かに老後の暮らしは、住まいや健康状態によって一人ひとり異なります。

しかし、公的データという「世間の基準(ものさし)」を知ることで、「自分の現在の立ち位置」や「将来発生するかもしれないリスク」が客観的に浮き彫りになります。

「うちの場合は平均と比べてどうだろう?」という視点で読み進めていただくことで、ただ不安になるのではなく、我が家の家計を守るための具体的な一歩が見えてきます。

1. この記事の3つのポイント

  •  貯蓄の中央値は1,178万円で世帯ごとの格差が大きい
  •  受給額の平均は国民年金で約6万円、厚生年金で約15万円
  • 無職世帯の収支は月約3.7万円の赤字で貯蓄切り崩し傾向

 

2. 【70歳代シニア】貯蓄額の平均はいくら?

老後資金について考えるときまず知っておきたいのが、みんなはいくら貯蓄を持っているのかです。

J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査2025」によると、70歳代二人以上世帯の貯蓄額の分布は以下のとおりです。なお、貯蓄には預貯金のほかにも株式や投資信託、積立型保険、個人年金保険などを含みます。

2.1 70歳代二人以上世帯の貯蓄額

  • 非保有 :10.9%
  • 100万円未満 :4.5%
  • 100~200万円未満 :5.1%
  • 200~300万円未満 :3.7%
  • 300~400万円未満 :3.9%
  • 400~500万円未満 :2.9%
  • 500~700万円未満 :6.4%
  • 700~1000万円未満 :6.7%
  • 1000~1500万円未満 :11.1%
  • 1500~2000万円未満 :6.7%
  • 2000~3000万円未満 :12.3%
  • 3000万円以上 :25.2%
  • 無回答 :0.6%
  • 平均値 :2416万円
  • 中央値 :1178万円

平均値は2416万円ですが、より実態に近いとされる中央値は1178万円です。中央値とは、ちょうど真ん中にあたる金額のことで、半数の世帯がこの金額未満であることを意味します。

平均は一部の高額な世帯に引き上げられる傾向があるため、「平均=多くの人の実感」とは限らない点に注意が必要です。

一時期話題になった「老後2000万円問題」と比べると、実際には1000万円に満たない世帯も一定数ある一方で、3000万円以上を保有している世帯も4分の1を占めています。

70歳代の貯蓄状況は一様ではなく、世帯ごとの差が大きいのが特徴です。