3.3 誤解3:「支払った保険料の元は取れない」は本当か?
公的年金は、個人が支払った保険料を単純に積み立てて将来受け取る、という貯蓄商品とは根本的に異なります。
この制度は、以下の3つの保障機能を備えた社会保険です。
- 老齢年金:長生きによって生活資金が不足するリスクに備える
- 障害年金:病気やけがで働けなくなった場合の所得を保障する
- 遺族年金:加入者が亡くなった場合に、残された家族の生活を支える
さらに、公的年金には所得再分配の機能があります。
これにより、現役時代の収入が高かった人とそうでない人の間で、老後に受け取る年金額の差が、収入差ほど大きくならないように調整されています。
したがって、「支払った保険料の元が取れるか」という損得勘定だけで、公的年金が持つ本来の多様な役割を評価することはできません。
4. 厚生年金と国民年金の将来像を正しく理解し、自身の受給見込み額を確認しよう
本記事では、令和8年度における年金額の改定内容や、実際の受給額の分布、そして公的年金制度にまつわる一般的な誤解について解説しました。
標準的な夫婦世帯の厚生年金は月額23万7279円へと増額される一方で、全体の平均受給額は約15万円台であり、月30万円を超える受給者は0.12%とごくわずかである実態も確認しました。
さらに、年金制度には給付水準を自動で調整する機能が備わっているため、「いずれ破綻する」や「保険料の負担だけが増え続ける」といった見方が必ずしも正確ではないこともご理解いただけたかと思います。
今回ご紹介したデータを参考に、まずはご自身の年金受給見込み額を「ねんきんネット」などで確認してみてはいかがでしょうか。
その上で、公的年金を老後生活の基盤としつつ、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)といった私的年金や資産形成を組み合わせ、将来に向けた準備を具体的に進めていくことが大切です。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しー令和6(2024)年財政検証結果 ー」
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料②ー年金額の分布推計ー」
- 日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料①」
- LIMO「来月4月支給!厚生年金と国民年金あわせて「60万円(月額30万円)以上」受給する人は何パーセントいる?」
東大森 勝太

