全国的に、飲料用ペットボトルに洗剤や殺虫剤などを移し替えたことで、子どもや高齢者が誤飲する事故が発生しています。
こういったトラブルを防ぐため、独立行政法人国民生活センターは2026年2月4日、「飲料用ペットボトルへの移し替えはやめましょう!-洗剤や殺虫剤などの誤飲事故が発生しています-」と題した注意喚起を実例とともに公開しました。
この記事では、トラブルにあわないためのアドバイスなどを紹介します。
また記事中では、消費者庁による令和7年版「消費者白書」より、最新の「消費者被害の推計額」についてもご紹介します。
※投稿の画像は【写真】をご参照ください。
※今回ご紹介する内容は、独立行政法人国民生活センターの掲載許可を頂いております。
1. 過去には誤飲した女性2人が意識不明となる重大な健康被害も
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医療機関ネットワークには、2020年4月から2025年10月の約5年7カ月の間に、飲料用ペットボトルに飲料以外のものを移し替えて中身を誤飲した事故情報が8件寄せられています。
柔軟成分入り洗濯用合成洗剤を誤飲し、重篤な化学性肺炎に至った事故情報もありそうです。
また、公益社団法人日本小児科学会のInjury Alert(傷害速報)には、ペットボトルに移し替えたワックス剥離剤や洗剤を子どもが誤飲した症例が報告されています。
こういった事故を踏まえ、2019年に東京都生活文化局は「洗剤類のつめ替え、移し替えにおける安全性に関する調査」 を実施。
飲料用容器への移し替えによる事故のリスクを知らない人が約4割いる等のアンケート調査結果を公表し注意喚起を行いました。
さらに、第2類医薬品である殺虫剤を誤飲した女性2人が意識不明となる重大な健康被害が発生し、厚生労働省が注意喚起を行ったこともあります。
こういった事故を防ぐためにも、国民生活センターも誤飲事故に関する注意喚起を発表しました。
次のページでは、国民生活センターに寄せられた事故事例や、アドバイスを紹介します。
2. 化学性肺炎になって長期の療養が必要になったケースも
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国民生活センターは、医療機関ネットワークに寄せられた事故情報として、以下のような事例を紹介しています。
- ペットボトルのお茶を飲んでいたところ、隣に置いてあったペットボトルに入った消毒用アルコールを飲んでしまった。吐き出したため、ほとんど飲み込んではいないが、喉の奥がヒリヒリするため受診した。
- 自宅車庫でバーベキュー中に子どもの泣き声がした。車庫内に置いてあった箱の中にあったシンナーが入ったペットボトルが倒れていた。子どもの口からシンナー臭がしたため、誤飲したと思い受診し、5日間入院となった。
- ペットボトルに移し替えられた殺虫剤を家族がもらってきた。それを知らずにお茶だと思い込み1口飲んだ。喉を通る際に咽頭痛があって、水を飲むたびに嘔吐したため受診し、入院となった。
- 家族がペットボトルに移し替えた柔軟成分入り洗濯用合成洗剤を誤飲して、化学性肺炎になった。入院が30日以上となり、退院後もADL(日常生活動作)が著しく低下しているため、リハビリを目的とした継続的な治療を行うことになった。
中には、化学性肺炎になって長期の療養が必要になるなど、重大な事故も報告されています。
では、こういった誤飲トラブルを防ぐにはどうしたら良いのか? 次のページでは、消費者へのアドバイスを紹介します。
3. 国民生活センターからトラブルに関してアドバイス
国民生活センターからは、重大な誤飲事故を防ぐために、以下のような消費者へのアドバイスを公表しています。
- 飲料用ペットボトルへの洗剤や殺虫剤などの移し替えは絶対にやめましょう。
- つめ替え製品や大容量の製品を使用する際は、指定以外の容器に移し替えないでください。
- 身の回りに中身が移し替えられた飲料用ペットボトルがないかを確認し誤飲事故を未然に防ぎましょう。
- 誤飲した場合や疑わしい場合は、速やかに医療機関などへ相談しましょう。
特に子どもや高齢者は、中身が飲料ではないと判断できずに誤飲するケースが多くあります。
重大なトラブルになる前に、飲料用ペットボトルへの洗剤や殺虫剤などの移し替えは絶対にやめましょう。
4. 2024年の消費者トラブルによる被害額は9兆円という結果に
日々消費活動を行うみなさんにとって、決して遭いたくないトラブルが「消費者トラブル」。
しかし、2025年6月に公表された令和7年版「消費者白書」によると、2024年の消費者被害の推計額(既支払額)は9兆円にのぼることがわかりました。
なお、2020年からの推移は下記のとおりです。
4.1 消費者被害・トラブル額の推計結果(既支払額・信用供与を含む。)
- 2020年:約3.6兆円
- 2021年:約5.6兆円
- 2022年:約6.0兆円
- 2023年:約7.9兆円
- 2024年:約9.0兆円
2024年の金額が近年最高額となっていることがわかりました。
なお、既支払額(信用供与を含む)ベースでの消費者被害・トラブル額の推定額は約9.0兆円ですが、この数字には誤差が含まれており、同基準の消費者被害・トラブル額は95%の確率で8.5~9.6兆円の幅の中にあると推定されています。
また推計結果の推移をみると、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による消費の落ち込みの影響が考えられる2020年の約3.6兆円を除いて、だいたい5兆円から6兆円で推移していました。しかし、近年は増加傾向にあることが見て取れます。
また、消費者被害・トラブル額の推計結果の算出方法には、新手法と旧手法の2種類があります。
同白書によると、「旧手法」では、消費者生活相談情報(PIO-NETデータ)に含まれる、1億円以上の極端に高額な案件も推計に含められていました。そのため、発生自体が稀な高額案件が、推計全体に実態以上に大きな影響を与える可能性がありました。
そこで「新手法」では、消費者被害・トラブル額の推計は、1億円未満のデータに基づき行うこととし、相談案件が1億円以上のトラブルについては、推計には含めず、件数と総額を推計値に併記する形を取っています。
この新しい手法により、ごく一部の極端なデータが推計全体に影響を与えることを防ぎ、また実態により即した推計となりました。
なお、旧手法による2024年の消費者被害の推計額(既支払額)は9.6兆円と、新手法よりも金額が多くなっていることがわかります。
いずれにしても、最新の数字で9兆円にのぼる莫大な金額が被害・トラブル額として推計されている現在、消費者庁は誇大広告や偽表示を行う通販業者への行政処分、SNS広告による詐欺的副業の注意喚起など、迅速な対応を取っています。
参考資料
LIMO編集部