もうすぐ3月。新年度を前にして資産運用を検討される方もいるでしょう。新たに働き始めたり、昇給したり、お子さんが巣立って支出が減ったり…など、春は家計が変わりやすい分、資産形成の見直しをするのにはよい時期です。
投資初心者の方の中には「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」、通称「オルカン」での投資を検討されている方もいるかもしれません。
全世界の株式にむけて運用をおこなうオルカンは人気がある投資信託の一つである一方、「オルカン一択は危険」といった意見もあり、悩む方もいると思います。
今回は投資初心者の方に向けて、オルカンの特徴とオルカン一択は危険といわれる理由を解説します。大切な資産を投じるからこそ、メリットはもちろんのこと、リスクやデメリットも正しく理解しましょう。
1. 「オルカン」(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー))とは?利回りも
「オルカン」とは、正式名称を「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という投資信託のことです。
運用方針としては「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)」に連動した運用成果を目指し、先進国や新興国など世界中の株式約2500銘柄に分散投資できるのが特徴です。主にどのような国に投資をしているかをみてみましょう。
1.1 投資先の国・地域別構成比率(2026年1月時点)
- アメリカ:61.9%
- 日本:%
- イギリス:3.3%
- カナダ:3.0%
- 台湾:2.4%
- フランス:2.2%
- スイス:2.1%
- ドイツ:2.0%
- ケイマン諸島:1.8%
- インド:1.8%など
上記のようにさまざまな国に投資していますが、構成比率の約6割をアメリカが占めていることがわかります。
また、これまでの騰落率や基準価格、設定日は以下の通りです。
- 設定日:2018年10月31日
- 基準価額:3万3732円
- 騰落率(過去1年間):+21.8%
- 騰落率(過去3年間):+102.0%
- 騰落率(設定来):+237.3%
※2026年2月時点のデータです。
※騰落率は税引前の分配金を再投資したものとして算出されているため、実際の投資家利回りとは異なります。
上記を年率にすると以下になります。
- 1年: 18.6%
- 3年: 約26.41%
2. オルカンの手数料は?信託報酬の低さは魅力
実際に運用を始めるとなると気になるのが手数料です。オルカンを運用する際にかかる主な手数料は以下の通りです。
- 購入時手数料:なし
- 信託報酬(年率):0.05775%(税抜 年率0.0525%)
- 信託財産留保額:なし
特に注目したいのが、保有期間中に継続してかかる信託報酬です。オルカンの信託報酬は年率0.05775%と低めに設定されています。
金融庁「つみたて投資枠対象商品の信託報酬率の分布」によれば、新NISAの積立投資枠で選択できる、投資策を国内外にしたインデックスファンドの平均的な信託報酬率が0.33%です。
オルカンが低コストであることが分かります。
3. 「オルカン一択は危険」は本当か?
全世界の株式へ投資でき、手数料が低いオルカンですが、なぜ「一択は危険」という声があるのでしょうか。
3.1 1. アメリカへの依存度が高い
オルカンは全世界の株式に投資しますが、その構成比の約6割はアメリカとなっています。そのため、分散投資はできているもののアメリカの経済情勢や株価動向に大きく影響を受けます。
また、自身の資産形成のポートフォリオを考える場合、オルカンの投資先でアメリカが占める割合が多いことを把握していないと、他の投資によってはアメリカへの投資比率が高くなる場合も考えられます。事前に国別の投資先は把握し、自身のポートフォリオを考えるといいでしょう。
3.2 2. 投資対象が「株式」でリスクは高い
投資信託には債券や不動産(REIT)、株式など様々な資産に投資するものがありますが、オルカンの投資対象は株式です。株式は他にに比べて価格変動リスクが大きく、ハイリスク・ハイリターンな性質を持っています。
3.3 3. 「とりあえずオルカン」にリスクも
オルカンはメディアやSNSで取り上げられることもあります。それゆえ、「投資はよくわからないけれど、とりあえずオルカンにすればいい」という考えで投資することには注意が必要です。
投資には必ずリスクがありますし、自己責任で行うものです。とりあえずオルカンにしたものの、株価下落時の対応を考えておかないと、想像以上に価格が下がり、長期間運用しようと思っていたのに慌てて売却してしまったという場合もあるでしょう。
投資する国や商品は何か、どれくらいのリスクがあるか、価格が下がったときにどうするか、どのタイミングで売却するか…などはきちんと確認して、ご自身で考えた上で運用は決めましょう。
4. 投資対象を確認してリスク許容度に合った投資を
オルカンは全世界株式に投資ができ、信託報酬が低いですが、株式なのでハイリスク・ハイリターンであり、アメリカへの投資比率が高めです。
「オルカン一択は危険」という声もありますが、実際には自身がきちんと投資内容を確認した上で、自身のリスク許容度の範囲で運用を考えることが大切です。また自身のポートフォリオもきちんと確認をしたり、売るタイミングについても買う前から考えたりするようにしましょう。
参考資料
宮野 茉莉子
