上述の金額を見ると、「退職金を考慮しても足りない」と思う方も多いのではないでしょうか。退職金にしても削減を進める企業が増えるなかで、現状で換算できる額に保証はありません。経済的にゆとりのある老後生活を送るためには、やはり貯蓄の上積みが必要になってきます。

老後の資金を貯める方法はいくつかありますが、現状の制度下で最もおすすめなのが個人型確定拠出年金「iDeCo」です。最大のメリットは「節税効果」。掛金の拠出時・運用時・受取時の3段階で税制優遇が受けられます。加えて原則60歳以降での受け取りとなるので、確実に老後資金を貯めていきたい方は一度、検討してみるとよさそうです。

お金が貯まる3つの方法

貯蓄額を増やすためには、家計において「お金が貯まる流れ」を生み出すことも重要です。貯金上手になるための3つの方法をご紹介します。

[1]給料や口座からの天引き

給料天引きの「財形貯蓄」や口座から毎月積み立てを行う「自動積立」を利用すれば、自動的な貯蓄が可能です。まずは無理のない金額からスタートし、可能な範囲での最適な貯蓄額を見極めていくのがおすすめです。

[2]固定費をカットする

毎月固定的に支出している費目は、定期的に見直しをしましょう。保険料や携帯電話代、プロバイダ料金などのほか、増え続ける課金・サブスクリプションサービスの利用料など、年間で合計すると意外と大きな金額になっていることも。クレジットカードの利用明細を確認し、不必要なものがないか定期的に再検討してみましょう。

[3]家計簿の活用

「毎月、何にいくら使っているか」という傾向を掴むには、「家計簿」も有効です。本格的な帳面でなくとも、ノートやエクセルなどに支出内容とその額を記入するだけでOK。今後購入予定の品物もリストアップしておけば必要額が明確になりますし、現状の貯金額やローンの返済額も書き留めておけば、「自身の貯蓄目標までどのくらいのペースが必要なのか」を明確に把握しやすくなるでしょう。

「定年後に働く」のも一案

貯金額を増やす以外では、「65歳を過ぎても働く」という選択肢もあります。

「働くと年金が減るのでは?」と心配される方もいるかと思いますが、厚生年金の場合、65歳以上であれば毎月の年金+報酬の合計額が「46万円」を超えなければ、年金の減額対象とはなりません。65歳未満の場合は、月額合計で「28万円」が減額のラインになります(※2018年時点での制度)。

また、雇用形態が「契約社員」「業務委託」などの場合は厚生年金から外れることになりますので、このような制限は生じません。

さいごに

社会に役立てる実感は、生きる気力や充実感に繋がることもあるでしょう。「定年後に働くことで貯蓄不足分をカバーする」という方法も、ポジティブな選択として一考の価値はあるでしょう。そのためにも健康維持には最大限、気をつけていきたいですね。

とはいえ、避けられない病もあり、誰もがいつまでも働けるわけではないのも事実。現状の制度下でお金の心配なく老後を過ごすためには、やはり年金や退職金以外の貯蓄に取り組んでおくことが不可欠です。iDeCoなどの活用も含め、今のうちから計画していきましょう。

【参考】

「平成29年簡易生命表の概況」 厚生労働省

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

LIMO編集部