公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性があるため、国民は“自助”の充実を行っていく必要がある――。金融庁が2019年5月22日に発表した「高齢社会における資産形成・管理」での提言が大きな話題になっています。今後さらなる増税や社会保障費アップが起きる可能性もあり、老後に向けての備えは今や誰もが看過できない問題。超高齢社会の日本で、貯蓄はどのくらい必要なのでしょうか。
年金以外に必要なお金は?
夫婦2人分の必要想定額
生命保険文化センターが発表した『平成30年度 生命保険に関する全国実態調査(速報版)』(2018年9月14日発行)によれば、夫婦で老後生活を送る上で公的年金以外に必要な金額は以下のとおりです。
・世帯主が60歳~64歳 …平均で月額20万6000円
・世帯主が65歳以降 …平均で月額15万9000円
最新のデータに基づく平均寿命は、男性で81.09歳、女性は87.26歳となっています(参照:厚生労働省「平成29年簡易生命表の概況」)。老後の人生が男女平均で約25年間と仮定すると、
・60歳~64歳の5年間…月額20万円×5年間=1,200万円
・65歳以降の20年間…月額16万円×20年間=3,840万円
上記を合わせると、夫婦2人で安心して暮らすために必要な公的年金以外の合計額は「5,040万円」と想定されます。
単身世帯の必要想定額
続いて、単身世帯の場合。住居費などを考慮すると、単純に「2人暮らしの半分」とはならず、加えて介護などが必要になった際には有料の人手を必要とする可能性が高くなります。そうした不透明さを考えると、「3,000万円」が必要なラインだと言えるでしょう。