米中貿易摩擦などの懸念はあるが下値は限定的
2019年5月24日の日経平均株価の終値は、前日より33円92銭安の21,117円22銭となりました。小幅ながら続落です。取引時間中には一時、下げ幅が220円を超え、21,000円を割り込む場面もありました。
米中貿易摩擦の悪化が懸念されることから、米国をはじめ海外の株式市場も軒並み軟調となりました。さらに米国が、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対する米国製部品などの禁輸措置を発動したことで、日本の電子部品・半導体メーカーの業績に影響が出ると考えられ、関連銘柄が売られました。
今週の動きはどうなるでしょうか。ファーウェイを巡る問題について中国が強く反発するなど、米中貿易摩擦は長期化が予想されます。ただし海外の市場が、つるべ落としのように売られる展開になっているかというとそうではありません。
トランプ米大統領は強気の施策を矢継ぎ早に進める一方で、中国との貿易交渉が合意できれば、ファーウェイへの制裁緩和を進める用意があると語るなど、トランプ流の駆け引きを行っています。
投資家もトランプ氏の発言に振り回されている状況です。24日の米株式市場では、これらの発言を受けてダウ工業株30種平均が3日ぶりに反発しました。
そのトランプ氏が25日午後、元号が令和になって初めての国賓として来日しました。天皇皇后両陛下との会見、安倍晋三首相と青木功プロとのゴルフ、大相撲観戦などの厚遇で迎えられますが、27日に行われる首脳会談では、日米の貿易交渉についても協議される見通しです。
トランプ氏はこれまでも、日本が米国の農産品にかけている関税の撤廃などを要求してきています。自動車の数量規制などにも言及があるかどうかも注目されます。
6月下旬には大阪で20カ国・地域(G20)首脳会議も開かれます。過去にはこれらの大きなイベントに合わせて政策のてこ入れなどが行われてきました。夏の参院選、10月に予定されている消費税率10%への引き上げなどに動きがあるのかも注目されます。
小幅にもみ合い、終値ベースでは21,000円台を維持
先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週末の17日には、ローソク足が75日移動平均線にかかりながら、長い上ヒゲを付けて下落する形で終えていました。先週、この75日線を回復できるかどうかがポイントでした。回復できなければ、むしろ、75日線が上値抵抗線となって下落する可能性が高くなります。
結果は、週初の20日に75日線超えにトライするも跳ね返されて下落。21日も窓をあけて下落しました。23日、24日も続落しました。
今後の展開はどうなるでしょうか。チャートの形としては75日線に上値を押さえられ、5日線も割り込んだことが少し心配です。
ただし、21,000円付近では押し目買いの動きもあります。足元の下値めどである3月25日の安値(20,911円)や、5月14日の安値(20,751円)も割り込んでいません。ここを割り込まないと下降トレンドにはなりません。また、月足などの長い足で見ると、依然として上昇トレンドを維持しています。
こういった動きから、足元では21,000円付近からの押し目買いを狙うのも一つの方法です。ただ、直近は、上下400円ほどの小幅なレンジの中での動きとなっており、なかなか方向感が出しづらいところです。
トランプ米大統領の来日などを控え、週初は様子見ムードになる可能性もあります。本格的に出動するならば、目先意識されやすい21,000円と、75日線の21,500円付近をどちらかに抜けてからでも遅くないでしょう。
下原 一晃