次回の年金支給日がある6月は年金支給額の改定が反映されるタイミングであり、「自分の年金は平均と比べて多いのか少ないのか」と気になる方も多いのではないでしょうか。
2026年度は4年連続のプラス改定となりますが、年代によって受給額には大きな差があります。
60歳代・70歳代・80歳代では平均月額に数万円規模の開きがあり、この違いを把握していないと生活設計や将来の準備に影響する可能性もあります。
近年は「終活」への関心も高まり、エンディングノートの作成や資産整理など、人生後半を見据えた準備が重要視されています。
本記事では、シニア世代の平均年金月額を一覧で整理し、終活との関係や資金面での考え方をわかりやすく整理します。
1. 年金受給世代における「終活」の実態と、人生の後半をいきいきと過ごすための備え
長寿化が進む現代では、老後や自分の死後を見据えた「終活」への関心が高まりつつあります。
2025年7月にNPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)が発表した「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】」によると、20~89歳の男女2052人のうち、「終活」という言葉を聞いたことがある人は96.9%にのぼりました。
2009年に登場したとされる「終活」という言葉が、社会に広く浸透したことがうかがえます。
一方で、終活は今もなお「死後に備えるためのもの」という後ろ向きなイメージが根強く残っています。
近年は「人生後半をよりよく生きるための準備」と前向きに捉える人も増えつつありますが、全体としてはまだ否定的な印象を払拭するまでには至っていない状況です。
1.1 終活のスタートは「まずエンディングノート」から
老後資金の準備から、実際の終活の行動へ踏み出すうえで、ぜひ知っておきたいのがエンディングノートです。
同報告書によると、「エンディングノート」という言葉を知っている人は全体の84.3%にのぼります。
しかし、実際の行動となると世代間で大きな差が見られます。
エンディングノートを「持っている」人の割合、さらにその中で「書いている」人の割合を年齢別に確認してみましょう。
【年代別】エンディングノート「認知度・所有率・実行率」
- 20歳代
- 聞いたことがある:60.7%
- 持っている:6.3%
- 書いている:92.2%
- 30歳代
- 聞いたことがある:74.1%
- 持っている:5.2%
- 書いている:76.9%
- 40歳代
- 聞いたことがある:85.3%
- 持っている:7.5%
- 書いている:77.3%
- 50歳代
- 聞いたことがある:86.6%
- 持っている:8.5%
- 書いている:64.0%
- 60歳代
- 聞いたことがある:92.5%
- 持っている:16.0%
- 書いている:53.8%
- 70歳代以上
- 聞いたことがある:93.9%
- 持っている:24.2%
- 書いている:50.6%
エンディングノートを「知っている」と答えた人の割合は年齢とともに高まり、60歳代以上では9割を超えています。
一方で、実際に「持っている」人の割合は、70歳代以上(24.2%)が最も高いものの、50歳代までは一桁台にとどまります。
終活を差し迫った問題として捉えにくい若い世代では、自然な傾向といえるでしょう。
さらに、エンディングノートを「持っている」人の中で「書いている」人の割合は、おおむね年齢が上がるほど低下し、70歳代以上(50.6%)が最も低い結果となりました。
高齢になるにつれて、記すべき内容が増えることや、健康面・認知面の影響によって書き進めにくくなる可能性も考えられます。
エンディングノートの利点は、お墓や葬儀、家族信託、生前贈与といった複雑な手続きを伴うものとは異なり、個人で気軽に始められる点にあります。
金融資産やデジタル資産の整理に向けた第一歩として、エンディングノートの記入から取り組むことは、有効な方法の一つといえるでしょう。
【調査概要】NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)
- 調査目的 :高齢社会における終活意識の実態を明らかにし、個人が豊かで安心した人生後半期を送るための支援策や啓発活動に役立てる
- 調査対象 :20~89歳の男女
- 調査地域 :全国
- 調査方法 :インターネットリサーチ
- 調査時期 :2024年12月4日(水)~12月6日(金)
- 回答者数 :2052名
- 割付方法 :人口構成比割付(令和2年国勢調査の性年代別人口比率に基づく)
- 調査委託先 :株式会社マクロミル
2. 【60歳~89歳】シニアが受け取っている「厚生年金の平均月額」はいくら?
思うように進まない「終活」ですが、まずは家計を支える中心である「年金」の現状を整理し、自身の資産状況を見える化することから前向きに取り組むのも一つの方法です。
そこで、現在のシニア世代が実際にどの程度の年金を受け取っているのかを確認していきましょう。
厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、年齢別の平均年金月額を一覧で見ていきます。
まずは、厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額から確認します。
2.1 【厚生年金】60歳代(60〜69歳)が受け取っている「年金月額」一覧表
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含む。
2.2 【厚生年金】70歳代(70〜79歳)が受け取っている「年金月額」一覧表
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
2.3 【厚生年金】80歳代(80〜89歳)が受け取っている「年金月額」一覧表
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
一般的な年金の受給開始年齢は65歳とされています。
65歳以降における厚生年金の平均月額は、各年齢ともおおむね14万円~16万円台となっていました。
3. 【60歳~89歳】シニアが受け取っている「国民年金の平均月額」はいくら?
次に、国民年金(老齢基礎年金)について、年齢別に受け取れる平均年金月額を確認していきます。
3.1 【国民年金】60歳代(60〜69歳)が受け取っている「年金月額」一覧表
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方。
3.2 【国民年金】70歳代(70〜79歳)が受け取っている「年金月額」一覧表
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
3.3 【国民年金】80歳代(80〜89歳)が受け取っている「年金月額」一覧表
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
65歳以降に受け取る国民年金(老齢基礎年金)の平均月額は、おおむね5万円~6万円台となっています。
4. 国民年金・厚生年金額から見直す生活設計
2026年6月支給分からの年金増額により受給額は上昇しますが、60歳代・70歳代・80歳代での平均月額には依然として大きな差があります。
この差を把握せずにいると、自身の生活水準や将来設計を正しく見積もることが難しくなります。
特に終活を進めるうえでは、現在の収入水準を客観的に理解し、必要な支出や備えを整理することが重要です。
年金額は人生後半の基盤となる収入であり、平均との比較は自分の立ち位置を知る有効な手段といえるでしょう。
6月という改定タイミングを機に、年金額と終活準備をあわせて見直し、将来に向けた準備を進めることが大切です。知らないままにせず、今のうちに整理しておくことが重要です。
参考資料
- NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
マネー編集部年金班