大切な家族との別れは、予測できないタイミングで訪れるものです。
深い悲しみの中、遺族には葬儀やさまざまな行政手続きが待っています。
特に、葬儀費用や生前の入院費といった急な出費は、家計にとって大きな負担となり得ます。
寒さが残る2月は、確定申告の時期でもあり、お金に関する手続きについて考える機会も多いかもしれません。
このような経済的な不安を和らげるため、日本にはさまざまな公的支援制度が用意されています。
しかし、これらの制度の多くは、自分から能動的に「申請」しなければ給付を受けられないという点に注意が必要です。
この記事では、親が亡くなった際に申請を忘れてはならない「給付金・還付金」について、要点をまとめました。
申請期限や窓口を事前に確認し、受け取れるはずの権利をしっかりと確保しましょう。
1. 葬儀費用の負担を軽くする「葬祭費・埋葬料」
葬儀を執り行った後、最初に確認したいのが健康保険から支給される給付金です。
故人が加入していた健康保険の種類によって、給付金の名称や金額が変わります。
1.1 国民健康保険・後期高齢者医療制度加入者の場合:「葬祭費」
- 支給額:3万円~7万円程度(自治体によって異なります)
- 申請先:故人の住民票があった市区町村の役場
1.2 会社員など社会保険加入者の場合:「埋葬料」
- 支給額:一律5万円
- 申請先:故人の勤務先が加入していた健康保険組合、または全国健康保険協会(協会けんぽ)
◆注意◆申請期限は「葬儀を執り行った日の翌日から2年」と定められています。
申請には葬儀費用の領収書や、葬儀を執り行った証明となる会葬礼状などが必要になるため、紛失しないよう大切に保管してください。
2. 未支給年金とは?故人が受け取るはずだった年金を請求する
公的年金は、亡くなった月分まで受け取る権利があります。
しかし、年金は「偶数月に前2カ月分を支給する」という後払いの仕組みであるため、ほとんどの場合「未支給年金」が発生します。
- 仕組み:例えば、8月に亡くなった場合、8月分の年金を受け取る権利がありますが、その支給は10月になります。本人が亡くなると金融機関の口座は凍結されてしまうため、遺族が代わりに受け取るための手続きが必要です。
- 対象者:故人と生計を共にしていた遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の優先順)
- ポイント:未支給年金は相続財産とはならず、請求した遺族自身の「一時所得」として扱われます。
- 申請先:年金事務所または年金相談センター
「年金受給権者死亡届」を提出する際に、あわせて「未支給年金請求書」を提出すると、指定した遺族の口座へ支給されます。
3. 高額療養費制度で払い過ぎた医療費の還付を受ける
亡くなる前に長期間入院していたり、大きな手術を受けたりした場合、1カ月の医療費が自己負担の上限額を超えていることが少なくありません。
- 内容:医療機関の窓口で支払った医療費のうち、自己負担限度額を超えた金額が払い戻される制度です。
- 注意点:故人が支払った医療費であっても、相続人の代表者が請求することができます。
- 期限:診療を受けた月の翌月1日から2年以内です。
1カ月あたりの医療費の自己負担限度額は、年齢によって異なり、70歳以上と70歳未満で区分されています。
2026年現在、70歳以上の方の場合、年収に応じて1カ月あたりの自己負担上限額が定められています。
一例として、一般的な年金受給世帯(年収約156万円~約370万円)では、外来と入院を合わせた上限額は5万7600円です。
この金額を超えて支払った分がある場合は、忘れずに還付手続きを行いましょう。
4. 準確定申告で医療費控除などを適用し税金の還付を申請
故人が会社員や年金受給者であった場合でも、医療費控除などを適用することで所得税が還付されることがあります。
この手続きを「準確定申告」といいます。
- 期限:相続人が死亡の事実を知った日の翌日から4カ月以内
- 対象:故人の医療費が年間10万円を超えていた場合や、個人事業主だった場合などが該当します。
この申告は、通常の確定申告期間(翌年2月~3月)を待つ必要はありません。
特に相続税の申告が必要なケースでは、準確定申告によって還付された金額(または納付した税額)も相続財産に影響するため、早めに手続きを進めることが大切です。
5. 払い過ぎた介護保険料が戻ってくる「過誤納還付金」
見落としがちなのが介護保険料の還付です。
65歳以上の方の介護保険料は、原則として年金から天引きされていますが、亡くなったタイミングによっては払い過ぎの状態となり、精算が必要になることがあります。
多くの自治体では、死亡届が受理された後、自動的に還付に関する通知書が送付されます。
◆注意◆介護保険料の還付金を受け取る行為は、故人の財産を「相続する意思がある」とみなされる「単純承認」に該当する可能性があります。もし故人に多額の借金があり相続放棄を検討している場合は、安易に還付金を受け取らず、慎重に判断することが求められます。
6. 申請には期限あり!早めの手続きを
大切な家族が亡くなった直後は、遺族が対応すべき手続きが数多くあります。
この記事で紹介したのは、その中でも「申請によって受け取れるお金」に関する情報です。
それぞれの手続きには期限が設けられています。
特に準確定申告は「4カ月以内」と他の給付金に比べて期限が短いため、優先的に取り組むことをおすすめします。
※当記事は再編集記事です。



