貸金庫とは、銀行の店舗内に設置されている金庫で重要書類や貴重品、思い出の品などを預かるサービスです。元銀行員による金品の窃盗事件が起きたことをきっかけに大きく話題になりましたが、実はどのようなサービスかよく分からない方も多いかもしれません。
ここでは、貸金庫サービスの概要や入れていいもの・ダメなもの、利用のメリット・デメリットについて元銀行員の筆者が解説します。
1. 【貸金庫】事件をうけて貸金庫の規定が改定されている
貸金庫とは、銀行内に設置されている金庫に重要書類や貴重品、思い出の品などを預けられるサービスです。貸金庫にはいくつかの種類がありますが、最近はカードや暗証番号を使って自動で出し入れができる「全自動タイプ」のものが主流となっています。
この貸金庫で大きく注目を集めたのが2024年末に発覚した元銀行による窃盗事件です。金融庁では、こうした不正事案の再発を防止するため2025年に監督指針を大きく改正しています。
いくつかの変更点のなかで、特に影響が大きいのが「格納できるもの」に関する取り決めです。続いての章でくわしく見ていきましょう。
2. 【貸金庫】現金は禁止「入れて良いもの・入れてはいけないもの」とは
貸金庫には、実は格納できるものとできないものが規定によって定められています。今回の金融庁の監督指針の改正によって大きく変更されたのが「現金の格納」についてです。
格納できるものとできないものに分けながら、現金の格納の可否について見ていきましょう。
2.1 貸金庫に格納できるもの
貸金庫に格納できるものは、主に下記のとおりです。
- 公社債券、株券などの有価証券
- 預金通帳・証書、契約証書、権利書などの重要書類
- 貴金属、宝石などの貴重品
貸金庫というと高価なものを預けるイメージが強いかもしれませんが、思い出の品などを預けることもできます。実際に筆者が出会ったお客さまの中には「祖母との思い出の写真を入れている」、「子どもからもらった手紙を入れている」という方もいらっしゃいました。
2.2 貸金庫に格納できないもの
一方、貸金庫は以下のものを格納することが禁止されています。
- 現金
- 変質、腐敗、発熱、発火などの恐れがあるもの
- 爆発物などの危険物
前述の金融庁の監督指針の改正により、現金は「マネーロンダリングや不正利用防止の観点からリスクが高いもの」とされ、格納が禁止されました。金庫といえど、現金は入れられない点に注意が必要です。
また、貸金庫はサイズなどによって重量にも制限が決められています。インゴットなど重さがあるものを格納したい場合は、重量の規定もチェックするようにしましょう。
3. 【貸金庫】メリット「貴金属や遺言書など」安全なセキュリティで保管
貸金庫の大きなメリットは、自宅での保管が心配な物品を銀行へ預けられる点です。
たとえば、貴金属や保険証書、遺言書などを自宅よりも安全なセキュリティで保管することができます。大切な品を盗難や紛失、災害などから守れる点は安心感にもつながるでしょう。
貸金庫内は個室となっていますので、他人に見られる心配がないのも嬉しいポイントです。
4. 【貸金庫】デメリット「手数料あり」年間数万円かかることも
一方、貸金庫の利用には手数料が必要となります。金額は金庫の種類やサイズによって異なりますが、年間数万円するものも珍しくありません。
手数料は継続的にかかるコストですので、利用のメリットと天秤にかけながら考える必要があるでしょう。
また、現金が預けられない点を不便に感じる方も多いかもしれません。とはいえ、現金で保管しておくことで税逃れを疑われてしまったり、お金の流れが分かりにくかったりする側面もあります。
貸金庫に限らず、資産は現金ではなく預金や有価証券などで保管する方が安心といえます。
5. 【貸金庫】安全性と利便性で賢い活用を
貸金庫は窃盗事件で注目されてしまったものの、本来は銀行内のセキュリティで大切なものを保管できる重要なサービスです。有価証券や重要書類など、「自宅で保管するには少し不安」というものを預けるにはピッタリの場所だといえるでしょう。
しかし、格納できるもの・できないものが定められている点には注意が必要です。特に、現金は事件の影響によって格納できないように変更されています。
利用の際は、規定をきちんと理解したうえで格納するものを考えるようにしましょう。
参考資料
椿 慧理