3月は定年や再雇用など人生の節目を迎える人も多く、「老後のお金」を改めて考えるタイミングです。
物価上昇が続くなか、年金だけで生活できるのか不安を感じる方も少なくありません。
年金制度は、厚生年金と国民年金の2階建て構造を基本とする制度です。

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出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成
実際、厚生労働省の公表データからも、年金額には大きな個人差があることがわかります。
そこで本記事では、60歳~89歳の国民年金・厚生年金の平均月額を年代別に整理し、「ふつうの水準」を把握するとともに、終活を見据えた備えについて考えます。
1. 【年金受給世代の終活実態】人生の後半期を生き生きと過ごすための備えとは
平均寿命の延びに伴い、老後や自分がいなくなった後を見据えた「終活」への関心が高まっています。
2025年7月にNPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)が発表した「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】」では、20~89歳の男女2052人のうち、「終活」という言葉を知っている人は96.9%にのぼりました。
2009年に登場したとされるこの言葉は、すでに社会に広く浸透していることがうかがえます。
しかし、終活に対しては依然として「亡くなったときに備えるための準備」という否定的な印象が強く、70歳代以上でも約70%がそのように捉えています。
近年は「人生後半を充実させるための準備」と前向きに考える人も増えているものの、ネガティブな見方を上回るまでには至っていないのが現状です。
1.1 終活の実行は「まずエンディングノート」から
老後資金の準備から、実際の終活の取り組みへ踏み出すうえで押さえておきたいのがエンディングノートです。
同報告書によると、「エンディングノート」という言葉を知っている人は全体の84.3%にのぼります。
一方で、具体的な行動に移しているかどうかには世代間で大きな開きが見られます。
エンディングノートを「所有している」人の割合と、その中で「実際に記入している」人の割合を、年齢別に確認してみましょう。
【年代別】エンディングノート「認知度・所有率・実行率」
- 20歳代
- 聞いたことがある:60.7%
- 持っている:6.3%
- 書いている:92.2%
- 30歳代
- 聞いたことがある:74.1%
- 持っている:5.2%
- 書いている:76.9%
- 40歳代
- 聞いたことがある:85.3%
- 持っている:7.5%
- 書いている:77.3%
- 50歳代
- 聞いたことがある:86.6%
- 持っている:8.5%
- 書いている:64.0%
- 60歳代
- 聞いたことがある:92.5%
- 持っている:16.0%
- 書いている:53.8%
- 70歳代以上
- 聞いたことがある:93.9%
- 持っている:24.2%
- 書いている:50.6%
エンディングノートを「知っている」と答えた人の割合は年齢とともに上昇し、60歳代以上では9割を超えています。
しかし、実際に「持っている人」の割合を見ると、最も高いのは70歳代以上の24.2%で、50歳代までは一桁にとどまっています。
終活が差し迫った課題と感じにくい若い世代では、自然な傾向だとうかがえます。
さらに、「持っている人」の中で「記入している人」の割合は、概ね年齢が高くなるほど低下し、70歳代以上では50.6%と最も低い結果となりました。
高齢になるにつれて、書く内容が増えることや、体調面・認知面の影響などにより、記入が進みにくくなる可能性も考えられます。
エンディングノートの利点は、墓や葬儀、家族信託、生前贈与といった複雑な手続きを伴う準備と違い、個人で気軽に始められる点にあります。
資産やデジタル関連の情報を整理する入口として、まずはエンディングノートを書き始めることは有効な方法の一つといえるでしょう。
【調査概要】NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)
- 調査目的 :高齢社会における終活意識の実態を明らかにし、個人が豊かで安心した人生後半期を送るための支援策や啓発活動に役立てる
- 調査対象 :20~89歳の男女
- 調査地域 :全国
- 調査方法 :インターネットリサーチ
- 調査時期 :2024年12月4日(水)~12月6日(金)
- 回答者数 :2052名
- 割付方法 :人口構成比割付(令和2年国勢調査の性年代別人口比率に基づく)
- 調査委託先 :株式会社マクロミル
