2. オルカンとS&P500、実績に差が生まれる理由とは?投資対象の違いを比較

これまでのリターンの違いは、両ファンドの投資対象、つまり「中身」が異なることから生じています。

「オルカン」と「S&P500」は、どちらも特定の株価指数に連動した運用成果を目指す、代表的なインデックスファンドです。

両ファンドには共通点もありますが、投資する「地域」と「範囲」に大きな違いがあります。ここでは最新のデータを基に、それぞれのファンドが持つ特徴を詳しく見ていきます。

2.1 オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)の概要

このファンドは、その名の通り「オールカントリー」、つまり全世界の株式に投資する商品です。これ1本で、日本を含む先進国や新興国など、世界中の約2500銘柄に分散投資ができます。

  • 国・地域別の構成比率(上位3位):アメリカ(63.4%)、日本(4.8%)、イギリス(3.2%)
  • 主な組入銘柄(上位3位):1位 NVIDIA、2位 Apple、3位 Microsoft
  • 信託報酬(運用コスト):年率0.05775%以内(税抜0.0525%)という業界最低水準の低コストが特徴です。
  • ファンドの特徴:世界経済の動向に応じて、運用会社が自動で国・地域別の投資比率を調整(リバランス)してくれます。そのため、投資家自身が成長国を予測する必要がない点が大きなメリットです。

2.2 S&P500(eMAXIS Slim 米国株式)の概要

S&P500指数とは、アメリカの株式市場を代表する優良企業約500社の株価を基に算出される株価指数のことです。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、このS&P500指数に連動する運用成績を目指す投資信託であり、アメリカの主要産業をリードする大企業約500社へ投資します。

  • 資産の構成:実質的に100.1%を米国株式で運用しています。
  • 主な組入銘柄(上位3位):1位 NVIDIA(7.7%)、2位 Apple(6.8%)、3位 Microsoft(6.1%)
  • 信託報酬(運用コスト):年率0.08140%以内(税抜0.0740%)となっています。
  • ファンドの特徴:アメリカ経済の成長の恩恵を直接的に受けられる点が魅力です。オルカンと比較して上位銘柄への投資比率が高く、特に米国のハイテク株が上昇する局面では、高いリターンが期待できます。

3. まとめ

オルカンとS&P500のどちらを選択するにしても、投資で最も重要なのは、短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な視点で資産を育てる姿勢です。

今回の比較では、直近1年ではオルカンが、5年という期間ではS&P500が優れた実績を残しました。このように、どちらのパフォーマンスが優位になるかは時期によって変わります。大切なのは、将来を予測することではなく、市場がどのような状況であっても投資を継続することです。

時間分散(積立投資)でリスクを軽減

一度にまとまった資金を投じるのではなく、毎月一定額を積み立てる「積立投資」を続けることで、価格が高い時には少なく、安い時には多く購入する「ドルコスト平均法」の効果が期待できます。この時間分散により、相場が下落した局面も「安く仕込む好機」と捉えることができます。

  • 世界経済全体の成長に期待するなら「オルカン」
  • アメリカ経済の力強い成長を信じるなら「S&P500」

どちらの指数も、これまで数多くの経済危機を乗り越え、長期的には右肩上がりの成長を続けてきました。ご自身が選んだ投資方針を信じ、10年、20年といった長期的な視点でじっくりと資産を育てていくことが大切です。「時間を味方につける」ことこそ、資産形成を成功に導くための重要な鍵となります。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

和田 直子