NISA制度での資産形成を始める際、知名度の高い「オルカンか、S&P500か」で迷う人は少なくないようです。
どちらも非常に優れた投資信託ですが、2026年現在の最新データを見ると、両者の「守り」と「攻め」の性質の違いがより鮮明になっています。
オルカンやS&P500以外にも優れたファンドはありますが、ここでは、人気の両ファンドの運用実績とポートフォリオの中身を比較しながら解説します。
1. 「オルカン」と「S&P500」の運用実績をパフォーマンスで比較
まずは、2026年1月29日基準の運用パフォーマンスを比較してみましょう。
1.1 オルカンの基準価額・純資産総額の動向
【2026年1月29日基準】
- 設定日:2018年10月31日
- 設定来の運用実績:+236.87%
- 直近5年の運用実績:+156.57%
- 直近1年の運用実績:+21.02%
- 直近6カ月の運用実績:+16.39%
- 直近1カ月間の運用実績:+0.77%
1.2 S&P500の基準価額・純資産総額の動向
【2026年1月29日基準】
- 設定日:2018年7月3日
- 設定来の運用実績:+291.04%
- 直近5年の運用実績:+186.67%
- 直近1年の運用実績:+14.31%
- 直近6カ月の運用実績:+13.16%
- 直近1カ月の運用実績:▲1.38%
1.3 【オルカン・S&P500】リターンの比較
設定来:「S&P500」がリード
ファンドの設定日が約3カ月異なるため単純比較はできませんが、設定来のトータルリターンではS&P500がオルカンを上回っています。
- オルカン:+236.87%
- S&P500:+291.04%
直近1年:「オルカン」がリード
直近1年のリターンを見ても、オルカンがS&P500を上回る結果でした。
- オルカン:+21.02%
- S&P500:+14.31%
直近6カ月:「オルカン」がリード
一方で、直近6カ月のリターンではオルカンがS&P500をわずかに上回っています。
- オルカン:+16.39%
- S&P500:+13.16%
長期的(5年以上)には米国市場の力強い成長によりS&P500が大きくリードしていますが、直近1年間のリターンではオルカンがS&P500を約7%上回っています。特に直近1カ月でS&P500がマイナスに沈む中、オルカンがプラスを維持している点は、地域分散による「守りの強さ」を象徴しています。
2. 「オルカン」と「S&P500」の違いを比較!なぜ実績に差が出るのか?
リターンの差を生んでいるのは、それぞれのファンドが抱える「中身」の違いです。
「オルカン」と「S&P500」は、どちらも特定の指数(インデックス)に連動する運用成果を目指すインデックスファンドの代表格です。
両者は共通点も多いものの、投資対象の「範囲」と「地域」に明確な違いがあります。最新のデータをもとに、それぞれの特徴を解説します。
「オルカン」と「S&P500」の違い4/4
出所:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」・「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」をもとにLIMO編集部作成
2.1 オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)とは?
これ一本で日本を含む先進国から新興国まで、世界中の株式約2500銘柄に投資する、名称のとおり「オールカントリー投資」です 。
- 国・地域別トップ3: アメリカ(63.4%)、日本(4.8%)、イギリス(3.2%)
- 主な構成銘柄: 1位 NVIDIA、2位 Apple、3位 Microsoft
- 運用コスト: 年率 0.05775%以内(税抜0.0525%)という圧倒的な低コストが魅力
- 特徴: 世界経済の変化に合わせて運用会社が国ごとの比率を自動でリバランスしてくれるため、投資家が「次はどの国が伸びるか」を予想する必要がありません 。
2.2 S&P500(eMAXIS Slim 米国株式)とは?
S&P500指数は、米国市場を代表する主要企業500社の株価をもとに算出される指標です 。投資信託としての「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、この指数に連動する成果を目指し、米国の主要産業を牽引する大企業約500社に投資を行います 。
- 資産構成: 実質的に100.1%米国株式に投資されます 。
- 主な構成銘柄: 1位 NVIDIA(7.7%)、2位 Apple(6.8%)、3位 Microsoft(6.1%)
- 運用コスト: 年率 0.08140%以内(税抜0.0740%)
- 特徴: 米国経済の強さをダイレクトに享受できます。上位銘柄の比率がオルカンよりも高いため、米国ハイテク株の上昇時には非常に大きな爆発力を発揮します 。
3. まとめ
オルカンとS&P500、どちらを選んだとしても、投資において最も大切なことは「一喜一憂せず、長い目で見守ること」です。
直近1年ではオルカンが勝利しましたが、5年単位で見ればS&P500が勝っています。このように、時期によってどちらが優れているかは常に変動します。重要なのは「どちらが当たるか」を予想することではなく、どのような相場環境でも投資を辞めないことにあります。
時間分散(積立投資)で安心を手に入れる
一度に大金を投じるのではなく、毎月コツコツと積み立てる「積立投資」を継続すれば、価格が高いときには少なく、安いときには多く買う「時間分散」が自動的に働きます。これにより、一時的な暴落も「安く買うチャンス」へと変わります。
- 世界全体の成長を信じるならオルカン
- 米国の成長を信じるならS&P500
どちらも過去、幾多の暴落を乗り越えて右肩上がりに成長してきた指数です。自分の選んだ投資先を信じて、10年、20年という長いスパンでじっくりと資産を育んでいきましょう。「時間を味方につけること」こそが、資産形成における唯一にして最強の攻略法です。
参考資料
- 三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
- 三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」
- 金融庁「資産運用シミュレーション」
- 金融庁「新しいNISA」
和田 直子