米中貿易摩擦の悪化懸念から、一時21,000円割れ
2019年5月17日の日経平均株価の終値は、前日より187円11銭高の21,250円09銭となりました。14日まで7日続落でした。7日続落は2016年3月29日~4月6日以来です。7日間の下げ幅は1,240円で、令和になってから一度も上昇がありませんでした。
15日にようやく8営業日ぶりに反発し、令和初の上昇となっています。ただ、14日~16日はいずれも取引時間中に一時、節目となる21,000円を割り込む場面もありました。
背景にあるのは米中貿易摩擦の悪化懸念です。米国が10日、2,000億ドル相当の中国製品に対して関税を25%に引き上げる制裁措置を発動すると、中国は13日、600億ドル相当の米国製品への制裁関税引き上げで応酬。さらに15日には、米商務省が中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対する米国製部品などの禁輸措置を発動しています。
今週の動きはどうなるでしょうか。現状は米中がともに強い批判を行っており、引き続き対立の深刻化が懸念されます。さらに心配なのは日本企業への影響です。ファーウェイへの輸出規制がなされると、日本の電子部品・半導体メーカーの売上減となりかねません。
ただし、足元では悪材料も出尽くしたことから、米株、日本株ともに底入れの兆しも感じられます。
今週の主なイベントとしては、国内では20日に1~3月の国内総生産(GDP)が発表されます。内閣府が13日に発表した3月の景気動向指数に基づく景気の基調判断は6年2か月ぶりに「悪化」となりました。GDPの内容によっては相場が振られる可能性もあります。
22日には米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録も発表されます。連邦準備制度理事会(FRB)はこれまで、利下げの必要性を否定し、市場の期待を打ち消してきました。そのスタンスが続くようであれば、株価上昇のブレーキとなりかねません。
また、25日からは令和初の国賓としてトランプ米大統領が来日し、27日には安倍首相との首脳会談も行われます。
終値ベースで21,000円台を維持、底堅さを感じさせる
先週の日経平均株価の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週末の10日には、ローソク足の実体が75日移動平均線にかかるような形で終えていました。先週はこの75日線を維持できるかどうかがポイントでした。
結果は、週初の13日に窓をあけて下落。むしろ、75日線に上値を押さえられるような形になりました。ここで、直近の下値めどである3月25日の安値(20,911円)を割り込むようであれば、短期的な上昇トレンドが崩れます。14日には窓をあけて下落し、一時、20,751円となりました。ただし、引けにかけては値を戻し、終値も21,067円と、21,000円台も回復しました。
14日の長い下ヒゲからは反発も予想されました。実際に、15日、16日は窓をあけて上昇。それぞれ、取引時間中には21,000円を割り込むような動きもありましたが、3月25日の安値(20,911円)までには達せず、下値の堅さを感じさせました。17日には窓をあけてさらに上昇しました。ただし、75日線付近で上値を押さえられています。
今後の展開としては、3月25日の安値付近で下落が止まったことで、自律反発が期待できます。ただし、今週末のトランプ米大統領の来日などを控え、様子見ムードになる可能性もあります。
その場合には、目先意識されやすい21,000円と、75日線の21,400円付近の間の狭いレンジでもみ合いになることも考えられます。
下原 一晃