アウトドアターゲットのスマートウォッチ新製品を発表

米ラスベガスで開催中の世界最大の家電・情報通信関連の展示会、「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」(以下、CES)において、カシオ計算機(6952)はスマートウオッチの新製品「WSD‐F10」を発表しました。

カシオは昨年の5月から2016年のCESで新製品を投入する考えを表明していましたので、今回の発表は、まさに“満を持して”の発表ということになります。

今回の新製品の最大の特色は、「登山・トレッキング」と「サイクリング」、「釣り」などのアウトドアアクティビティでの使用シーンをターゲットにしたことです。5気圧防水とMIL規格準拠というタフネス性能が最大の売りであり、これはアップルウオッチにはないスペックです。

ちなみに5気圧防水というのは日常生活用防水のことで、雨天時の使用や水上スポーツでの利用にも耐えられます(ただし、ダイバーズウオッチとしての使用は不可)。

また、MIL規格準拠とは、米国防省の物資調達規格であり、落下や振動などにも十分に耐えられるだけの性能があるということです。

発売は日本で3月下旬、米国で4月上旬が予定されています。

センサー機能もアウトドア重視

アップルウオッチには、加速度センサー、ジャイロセンサー、心拍センサー、光センサーが搭載されていますが、カシオの新製品には、加速度とジャイロセンサーがある一方で、心拍および光センサーはありません。これに代わり、圧力(気圧・高度)センサー、方位(磁気)センサーが搭載されています。

カシオの新製品は、多数のセンサーとスマホアプリを活用することで、アウトドアでのアクティビティ中に知りたい情報(速度、距離、日の出の時刻、休憩のタイミング、魚の動きが活発になるフィッシングタイムなど)をタイムリーに得ることができる仕組みになっています。

余談ですが、アップルウオッチには決済機能アプリ(アップルペイ)が搭載されていますが、カシオの新製品にはそうした機能はありません。ここにもアウトドア重視というポリシーが反映されていると言えます。

重さ、価格、電池時間は?

アップルウオッチは製品バリエーションが多いので一概には比較できませんが、センサー以外の基本性能についても比較してみたいと思います。

まず、重さですが、カシオの新製品はバンド込みで93gです。一方、アップルウオッチは、「SPORT」タイプで本体が25g、ベルトが50g前後ですので、カシオ製はやや重めのようです。

ちなみに、普通のGショックは50~100g、タグホイヤーのダイバーズウオッチで180gですので、93gというのは時計として極端に重いということにはなりません。

次に価格ですが、カシオは、7万円(税別)での発売を予定しています。一方、アップルウオッチはタイプによって価格の開きが大きく、一番安いもので38mmケースの「SPORT」タイプが4万2800円。「EDITION」の最高級タイプでは218万円となっています。

最後に電池の持ち時間ですが、カシオ製品はフルカラー表示モードで1日、モノクロモードで1か月とされています。一方、アップルウオッチには省電力のモノクロモードはなく、通常の使用で18時間です。

今後の注目点

アップルは、2015年4月にアップルウオッチを発売しましたが、今のところ、スマートウオッチという製品カテゴリーについての株式市場の関心度は今一つ盛り上がりに欠けます。

こうした中で、今回のカシオの新製品は、発展途上の段階にあるスマートウオッチ市場に対して、一石を投じることになることは間違いないと思います。

昨年の投入から1年が経過する今春にはアップルがアップルウオッチの新製品を投入する可能性もありますので、株式市場でスマートウオッチに対する関心度が再び高まる可能性を注視したいと思います。

また、今後、カシオがアウトドア以外の用途を狙った新製品を投入していくかにも注目したいと思います。

参考:カシオ計算機の過去2年間の株価推移

LIMO編集部