2月8日の投開票日に向け、各政党からは生活に直結する「所得税・消費税の減税」や「社会保障改革」など、踏み込んだ公約が次々と発表されています。
物価高騰が続くなか、こうした政策の実現可能性を判断する上で避けて通れないのが、土台となる日本の財政状況の理解です。
現在、日本の財政はどのような立ち位置にあるのか。最新のデータをもとに、客観的な視点から整理します。
1. 膨らみ続ける「国の借金」:55年で300倍以上の規模に
国の運営は、税収を中心とした「歳入(収入)」と、行政サービスのための「歳出(支出)」で成り立っています。
現在、日本は必要な経費を税金だけでは賄えず、不足分を「国債(借金)」で補う構造が定着しています。
財務省の資料によると、普通国債残高は2025年度末に約1129兆円に達する見込みです。
1990年度(約166兆円)と比較すると、この35年間で約7倍に膨らんだ計算になります。
《普通国債残高の推移》
- 1970年:3兆5000億円
- 1980年:71兆円
- 1990年:166兆円
- 2000年:368兆円
- 2005年:527兆円
- 2010年:594兆円
- 2015年:805兆円
- 2020年:947兆円
- 2021年:991兆円
- 2022年:1027兆円
- 2023年:1054兆円
- 2024年:1104兆円
- 2025年:1129兆円
次に、国の支出と収入の内訳を見ていきましょう。
2. 「何にお金が使われているのか」歳出と歳入の内訳
2025年度の一般会計歳出(総額約115兆2000億円)の内訳をみると、特定の3項目が全体の約4分の3を占めていることがわかります。
2.1 歳出(支出)の内訳
- 社会保障関係費(33.2%): 医療、年金、介護など。少子高齢化に伴い、今後も増加が見込まれます。
- 国債費(24.5%): 過去の借金の返済や利払いに充てられる費用です。
- 地方交付税交付金等(16.4%): 自治体の行政サービスを支える資金です。
2.2 歳入(収入)の内訳
前述の歳出(支出)を賄う「歳入(収入)」の内訳を見てみましょう。
【2025年度予算の内訳:一般会計歳入総額115兆2000億円】
- 所得税:19.7%(22兆7000億円)
- 法人税:16.7%(19兆2000億円)
- 消費税:21.6%(24兆9000億円)
- その他税収:9.5%(11兆円)
- その他収入:7.6%(8兆7000億円)
- 公債金(借金):24.9%(28兆6000億円)
所得税や消費税などの「税収」でカバーできているのは全体の約75%です。
残りの約25%(28兆6000億円)は、将来世代の負担となる「公債金(借金)」に頼っているのが現状です。
3. 「金利のある世界」に突入、借金は返済できる?
これまで日本は歴史的な低金利環境にあり、巨額の借金を抱えながらも利払い負担を一定に抑えることができていました。しかし、2026年現在は金融政策の転換により、「金利上昇」が現実的なリスクとして浮上しています。
金利が上昇すれば、国の「利払い費」も増大します。これは、本来であれば福祉や教育、防衛などに回せるはずの予算が、借金の返済に吸い取られることを意味します。
2026年度も約29兆6000億円の新規国債発行が予定されており、依存体質からの脱却と経済成長のバランスが厳しく問われています。
4. 2026年衆議院選挙「税と社会保障」に関する公約
1月27日の公示を経て、各党が掲げている経済・社会保障政策の主なポイントを整理します(1月28日時点の情報)。
4.1 主要各党「税と社会保障」に関する公約のポイント
- 自民党:所得税減税やガソリン暫定税率の廃止を検討。食料品の消費税率を一定期間ゼロとする案も含め、負担軽減策を掲げる
- 日本維新の会:食料品消費税の2年間ゼロ税率化や、社会保険料負担の引き下げを柱とする社会保障改革を提案
- 中道改革連合:給付付き税額控除の創設や「年収130万円の壁」の解消、食料品消費税の恒久的なゼロ税率化を掲げる
- 国民民主党:ガソリン暫定税率の廃止や「年収103万円の壁」の引き上げなど、手取り増加を重視した政策を打ち出す
各党の公約には、物価高に苦しむ家計への直接的な支援が並んでいます。しかし、それらは同時に「将来の財源をどう確保するか」という議論と表裏一体です。
提示された支援策が一時的なものか、それとも持続可能な制度設計を見据えたものか。2月8日の投票日は、現在の厳しい財政状況を踏まえた上で、各党のビジョンを慎重に見極める重要な一日となります。





