2026年2月7日、衆議院選挙の投開票を翌日に控え、福祉や社会保障への関心が高まっています。そうした中で、障害のある方やその家族にとって身近な制度のひとつが「障害者手帳」です。

障害者手帳には主に3つの種類があり、それぞれ対象となる障害や制度の仕組みが異なります。本記事ではまず障害者手帳全体を整理したうえで、近年所持者数が増加している「療育手帳」に焦点を当て、制度の特徴や最新のデータ、申請時の注意点などをわかりやすく解説します。

1. 【療育手帳】3種類の障害者手帳「身体・療育・精神」それぞれの対象と違い

一般に「障害者手帳」と呼ばれるものには、次の3種類があります。

  • 身体障害者手帳
  • 療育手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳

それぞれ根拠となる法律や制度は異なりますが、いずれの手帳を所持していても「障害者総合支援法」の対象となり、各種障害福祉サービスを利用できます。また、自治体独自の支援制度や、公共交通機関の割引、民間企業によるサービスなどが受けられる場合もあります。

1.1 身体障害者手帳

身体障害者手帳は、視覚・聴覚・音声・言語機能、肢体、内部機能などに一定以上の障害があると認定された人に交付されます。申請には指定医師による診断書や意見書が必要で、原則として更新は不要ですが、障害の状態が変化した場合には再認定が行われることがあります。

令和6(2024)年度末時点の身体障害者手帳交付台帳登載数は 467万4999人。前年度と比べて 10万8137人の減少となりました。

1.2 療育手帳

療育手帳は、児童相談所や知的障害者更生相談所などで「知的障害がある」と判定された人に交付される手帳です。所持することで、障害福祉サービスをはじめ、自治体や民間事業者が提供するさまざまな支援を受けやすくなります。

なお、療育手帳は法律で一律に定められた制度ではなく、国の通知に基づき自治体が運用して判定基準が定められている点が特徴です。令和6(2024)年度末時点の療育手帳交付台帳登載数は 132万1350人。前年度から 3万9881人(+3.1%)増加しており、所持者数は増加傾向が続いています。

1.3 精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害があると認められた人に交付される手帳です。社会参加の促進や生活の安定を目的として、さまざまな支援制度の利用につながります

2024年度末時点の所持者数は 154万7433人で、前年度から 10万9340人増加しました。

今回は「療育手帳」の所持者について解説していきます。

2. 【療育手帳】132万人が所持「1年で約4万人規模の増加」4年連続で増加傾向

厚生労働省が2026年1月30日に公表した「令和6(2024)年度福祉行政報告例の概況」によると、療育手帳の交付台帳登載数は次のとおりです。

身体障害者手帳交付台帳登載数の年次推移2/3

身体障害者手帳交付台帳登載数の年次推移

出所:厚生労働省「令和6(2024)年度福祉行政報告例の概況」

  • 令和6(2024)年度末現在:132万1350人
  • 前年度比:3万9881人増(+3.1%)

療育手帳の所持者数は4年連続で増加しており、1年間でおよそ4万人規模の増加が続いています。また、18歳未満と18歳以上の内訳を見ると、特に18歳未満の所持者数が増加傾向にあることが特徴です。

発達障害への社会的な認知が広がったことや、学校や医療機関を通じた支援体制が整ってきたことで、早い段階で判定や申請につながるケースが増えていることも、所持者数増加の一因と考えられます。

3. 【療育手帳】療育手帳は「自治体ルール」が基本!運賃割引から税制優遇まで

療育手帳は、自治体により申請方法や判定機関、障害の区分、等級の名称など異なります。また、支援内容について具体的には、公共交通機関の運賃割引や医療費の助成に加え、ヘルパーによる移動支援や住宅リフォーム費用の補助など、暮らしを広げるための様々なサポートが受けられる場合があります。

また、税金の軽減措置や各種手当の支給、公営住宅への優先入居といった、将来の生活設計に関わる重要な経済的支援も含まれています。なお、こうした支援メニューの名称や適用条件は自治体ごとに細かく決められているため、申請前にお住まいの地域の役所で最新情報を確認することが大切です。

3.1 【横浜市の場合】紙とカードが選べる療育手帳

申請から交付までの流れ(原則)【横浜市の場合】3/3

申請から交付までの流れ(原則)【横浜市の場合】

出所:横浜市「愛の手帳 (療育手帳) の交付」

横浜市では、療育手帳(愛の手帳)の申請は各区の福祉保健センターで受け付けています。

  • 18歳未満:児童相談所で判定
  • 18歳以上:障害者更生相談所で判定

申請から交付までは、おおむね 2カ月〜2カ月半程度かかります。申請時には、本人確認書類や写真の提出などが必要です。また、横浜市では 紙様式とカード様式のいずれかを選択できる点も特徴のひとつです。

このように、療育手帳の運用には地域差があるため、実際に申請を検討する際は、お住まいの自治体の障害福祉窓口で事前に確認しておくと安心です。また、交付までには数カ月を要することが一般的です。進学や就職、各種割引制度の利用開始など、手帳が必要になる時期が決まっている場合は、審査期間を見越して、余裕を持って早めに相談・申請をスタートしておくと安心でしょう。

4. まとめにかえて

障害者手帳には、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の3種類があり、それぞれ対象となる障害や制度の仕組みが異なります。中でも療育手帳は、近年所持者数が増加しており、自治体ごとに制度運用が異なる点が大きな特徴です。

衆院選を目前に控え、福祉政策への注目が高まる今だからこそ、制度の基本や現状を正しく理解しておくことが重要といえるでしょう。本記事が、障害者手帳や療育手帳について考える際の参考になれば幸いです。

参考資料