2. 成功事例に学ぶ「王道」のパターン

まずは、自社株買いが発表され、実際に株価が力強く上昇した「成功事例」を見てみましょう。泉田氏が挙げたのは、リクルートホールディングスと三菱商事の2社です。

2.1 事例1:リクルートホールディングス(6098)―成長から還元への転換

2023年10月、リクルートは上限1,000億円(発行済株式数の約2.83%)の自社株買いを発表しました。
泉田氏はこの事例について、「数字(2.83%)自体のインパクトはそれほど大きくないが、方針の転換が評価された」と分析します。これまで成長投資にお金を使っていた企業が、「これからは株主還元もしますよ」と明確に打ち出したことで、市場の期待が高まり、株価がぐんぐんと上昇しました。

リクルートの株価の動き1/4

出所:各種データをもとにイズミダイズム作成

2.2 事例2:三菱商事(8058)―「消却」までのフルセット

2024年2月、三菱商事は発行済み株式数の約10%にあたる、上限5,000億円もの大規模な自社株買いを発表しました。
泉田氏はこの事例のポイントを、単に買っただけでなく「消却」までセットで行った点にあると指摘します。

  • 自社株買い: 市場から株を買うこと
  • 消却: 買った株を消して、発行済み株式数を減らすこと

買っても『金庫株』として会社が持っているだけでは、株式数は減りません。

三菱商事は10%もの株式を『買って消す』と宣言したことがポジティブサプライズとなり、株価上昇につながりました。これが王道のパターンです、と泉田氏は語ります。

三菱商事の株価の動き2/4

出所:各種データをもとにイズミダイズム作成

「自社株買い」の落とし穴について、元機関投資家の解説を動画で見る