かつて超就職難の荒波にもまれた就職氷河期世代の人たちも、今や40代に。そろそろ老後の生活を考え出す時期でもありますが、貯蓄はどのくらいあるのでしょうか。気になる負債の状況も踏まえて、就職氷河期世代の現状をみてみましょう!
就職氷河期世代の貯蓄と負債の現状
まずは、総務省が2018年5月18日に発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成29年(2017年)平均結果-(二人以上の世帯)」から、世代ごとの貯蓄や負債状況を確認していきます。
一世帯あたり貯蓄現在高平均値
40歳未満:602万円
40歳代:1074万円
50歳代:1699万円
60歳代:2382万円
70歳以上:2385万円
一世帯あたり貯蓄現在高の平均値は1812万円で、世代別の平均値はご覧の通りとなっています。世代が上がるごとに金額も上がるものの、40代はまだ貯蓄のエンジンがかかったばかりという印象でした。
続いて、負債の状況もみてみましょう。
一世帯あたり負債現在高平均値
40歳未満:1123万円
40代:1055万円
50代:617万円
60代:205万円
70歳以上:121万円
一世帯あたり負債現在高の平均値は517万円で、40歳未満の負債現在高は貯蓄現在高を500万円以上も上回っています。40代になるとほぼ同じラインまで追いつき、その先の世代では貯蓄現在高が上回る結果に。
住宅ローンや子どもの教育資金などに追われる40歳代は、負債を抱えた状態で貯蓄に取り組んでいるケースが多いことが分かりました。
お金に余裕があるイメージの60代と比較
先ほどの総務省の調査では、世代ごとに貯蓄や負債の状況が異なることが明らかになりました。就職氷河期世代である40代は、それなりに負債も抱えている状態でしたね。その一方、60代は「なんとなくお金に余裕がありそう」と感じている人も多いのではないでしょうか。
実際に、先ほどの調査の結果では60~69歳の平均貯蓄額は2382万円、70歳以上は2385万円という結果に。それに比べ、40歳未満の1世帯(2人以上)あたりの平均貯蓄額は602万円、40歳代は1074万円という数字でした。60代以上の平均貯蓄額と比べると、かなりの差がみられます。
60代以上がここまで多くの貯蓄額をもっている理由は、「退職金」が関係していると予想されます。経団連の「退職金・年金に関する実態調査結果」(2017年6月発表)における標準者退職金の結果、60歳大学卒の「管理・事務・技術労働者(総合職)」の退職金額は2374.2万円、高校卒は2047.7万円という結果でした。
なお、「標準者退職金」は学校卒業後直ちに入社した後、標準的に昇進・昇格した者を対象に算出した退職金を指します。正社員として長期にわたって働いていたシニア世代は、退職金を得ることで一気に貯蓄を増やせたのではと考えられるでしょう。