2. 高いPBRを支える「日本独自の株主優待文化」

次に議論されたのが「バリュエーション(株価評価)」の高さです。 動画内で泉田氏は、オリエンタルランドのROE(自己資本利益率)が約12.8%であるのに対し、PBR(株価純資産倍率)が4.5倍というのは「ROEの水準に対してPBRが割高(プレミアムが乗っている)」と指摘します。

なぜこれほど高い評価がつくのでしょうか。その背景には、オリエンタルランドという圧倒的なブランドへの信頼と、日本特有の事情がありました。それが「株主優待」です。

オリエンタルランドの株主優待は根強い人気

出所:Songsak C/Shutterstock.com

「株主優待は日本独自の文化であり、海外には基本的に存在しない」と泉田氏は語ります。 オリエンタルランドの株主には、「株価が下がろうと、パークチケットがもらえるなら持ち続ける」という熱烈な個人ファン層が一定数存在します。彼らが株を売らずにホールドし続けることで、PBRが下がりにくい(株価が底堅い)構造を作っているのです。

一方で、機関投資家にとって優待は「換金や寄付の手間がかかる厄介なもの」であり、海外投資家からは「そんなコストがあるなら配当や自社株買いに回してくれ」という声も上がるとのこと。この「個人 vs 機関」の温度差も、同社の株価形成を複雑にしている要因の一つのようです。

ディズニーは今後どうなる?オリエンタルランドの今と未来予想を動画で見る

3. 若者のテーマパークから「富裕層・シニア」の余暇へ

動画の後半では、今回の株価下落が単なる業績悪化への反応ではなく、「オリエンタルランドの歴史的な転換点」を示唆している可能性について言及されました。

その象徴が「クルーズ船事業」への進出です。 一見、テーマパーク事業とは親和性が高そうに見えますが、泉田氏は「資本効率の観点からはリスクが高く、難しいビジネス」と分析します。天候リスクや巨額の投資が必要になるためです。

クルーズ船事業で狙うものは何か

出所:NAN104/istockphoto.com

それにも関わらず、なぜ彼らは海へ出るのでしょうか。

泉田氏の分析は非常に明快です。 「日本の人口動態を考えれば、若者だけをターゲットにし続けるのは限界がある」

少子高齢化が進む日本において、かつてのように「女子高生がカチューシャをつけて遊ぶ場所」一本槍では成長が見込めません。 時間とお金を持った「元気なシニア層」や「富裕層」に向けて、アトラクションで絶叫するのではなく、豪華なホテルやクルーズ船でゆったりとした時間を楽しんでもらう。

オリエンタルランドは今、ターゲット顧客を大きくシフトさせようとしています。

ディズニーは今後どうなる?オリエンタルランドの今と未来予想を動画で見る