育児のカタチは、千差万別。どのような育児法であっても、その子どもの親や保護者が信念を持って実施しているのなら、他人から干渉されるべきものではないでしょう。その逆もまた然り。いくら自身がよいと信じる育児法であっても、他人にその育児法を強要するのはいかがなものでしょうか。
一般常識とかけ離れた驚きの育児法を提唱する健康オタクママの発言から、育児の在り方について考えます。
1歳の誕生日まで母乳だけで育てる…?
「1歳の誕生日まで母乳だけで育てるつもり!」
これは筆者の身近にいる健康オタクママが、実際に発したセリフです。一瞬、頭の中にいくつもの?(ハテナ)が浮かんだ人もいるのではないでしょうか。
このセリフの意味をわかりやすく説明すると、健康オタクママは1人目の育児では離乳食を与える時期が早すぎたと反省しているそうで、人間の子どもは完全食である母乳をしっかり与えることが大事!そのため1歳の誕生日までは母乳だけで育て、離乳食はその後に始める予定、とのことでした。
この育児法を聞き、驚いた人も多いのではないでしょうか。それもそのはず、厚生労働省が発行する「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)」によると、子どもの発育及び発達には個人差があるため月齢はあくまで目安だが、離乳の開始は生後5~6ヶ月頃が適当であると明記されています。
また同ガイドの「離乳に関する動向」の項には、アンケート調査の結果も掲載されており、離乳の開始時期は「生後6ヶ月」の割合が44.9%と最も高く、離乳の完了時期は、「13~15ヶ月」の割合が33.3%と最も高いという結果だったそうです。
以上より、健康オタクママが離乳食を始めようとする1歳の誕生日頃は、一般的な育児では離乳の完了期に当たります。また生後半年を過ぎた頃から徐々に、大人が食べている様子を見ながらヨダレをたらしたり、食べるフリをして口をモグモグ動かしたりと、「離乳食開始のサイン」が見られることもしばしば。
実際に、健康オタクママはこの一風変わった育児法を貫き、実際に母乳だけで育てているようでした。10ヶ月頃に会った時にも、まだ離乳食は始めておらず、ずっとママに引っ付いて、母乳を飲み続けている子どもの様子に、違和感を覚えたのは事実です。
1歳以降は野菜・フルーツで構成した食事…?
実はこの健康オタクママは、肉や魚のほかに卵や乳製品も一切口にしない絶対菜食主義者「ビーガン」なのです。と言っても、この食習慣を始めたのは1人目を産んでからなので、ビーガン歴3年目といったところでしょうか。
彼女によると、尊敬する人間がビーガンだったらしく、憧れの念からどっぷりビーガンの思想にハマっていったのだそう。
ビーガンを始めて以来、彼女は毎日カット野菜をモリモリ食べ、足りない栄養素を大量のサプリメントで補う生活を続けています。
前述の2人目に生まれた子どもの話に戻すと、1歳を迎え、やっと母乳以外の食べ物を食べられるようになりました。しかしその品目はかなり限られており、魚や肉はもちろんNG。野菜を煮込んだものやおかゆ、フルーツのみを与えていました。
もうすぐ3歳になるその子どもの現在の食生活は、主食に玄米ご飯、そして変わらず煮込みor生野菜です。空腹を満たすため、一度に食べるご飯の量はお茶碗3倍ほど。糖質過多の影響からか、ずんぐりとくびれのない大きな体をしており、走ったり、遊具で遊んだりすることが苦手な子どもに育っています。
子どもの体型や得意・不得意を否定するつもりはありませんが、食事に対する選択肢を持たない幼い子どもにまで親の食習慣を押し付けることは、果たして正しいことなのでしょうか。子ども自身がその意味を理解してからでも、遅くはないのでは?と思えてなりません。