5. 【持ち家前提の家計】住居費が低く見えるのはなぜ?高齢者世帯は「持ち家」が圧倒的多数
65歳以上の世帯主がいる世帯では、住宅の所有割合が非常に高いことが統計で示されています。「持家(一戸建て)」と「持家(分譲マンションなど)」を合わせると、65歳以上の世帯の8割以上が持ち家に住んでいるという結果になっています。
このように持ち家世帯が多数を占めるため、家計調査における「住居費」は一般の世帯よりも低く出る傾向があるのです。
5.1 住居費の数字に含まれていない費用とは?
家計調査の「住居費」には、家賃や地代のほか、日常的な「設備修繕・維持」の費用が含まれています。しかし、高齢者が持ち家で暮らす場合、この「住居費」の項目だけでは見えにくい次のような負担に注意が必要です。
固定資産税や都市計画税
固定資産税や都市計画税 持ち家の場合、賃貸の家賃とは別に毎年支払う固定資産税や都市計画税があります。これらは家計調査では「住居費」ではなく「非消費支出(直接税)」に分類されています。
まとまった年額ベースの支出となるため、月々の住居費とは別に負担がのしかかります。
修繕・維持管理費
家計調査の住居費には日常的な維持費が含まれていますが、屋根の塗装、外壁の補修、バリアフリー改修といった十数年に一度発生するような大規模な住宅維持費は、月々の平均データには大きく反映されにくい性質があります。
このように、「今払っている住居費」が低いから住宅コストが軽いとは限らない点を理解しておく必要があります。
5.2 賃貸世帯の家計モデルは全く異なる
一方で、すべての高齢者世帯が持ち家とは限りません。調査によると、65歳以上の高齢者のいる世帯の約2割弱ほどは賃貸住宅に住んでいます。
また、高齢者でも単身かどうかや、地域や家族構成によって住居費の負担は大きく異なります。
賃貸世帯の場合、家賃は家計にとって大きな固定支出です。賃貸の家賃を月額ベースで比較すると、持ち家よりも高くなるケースが多く、高齢期の生活費を考えるうえで「住居費の見積もり方」に差が出てきます。
5.3 「数字に隠れた負担」を見落とさないために
このように、持ち家世帯が多い高齢者家計の住居費は、統計上低く見えやすいという性質があります。
しかし、
- 固定資産税や修繕費などの年間支出
- 大規模リフォームの必要性
- 地域格差による住宅維持費の違い
といった「統計に出にくい住宅コスト」は、実際の家計負担に影響を与えます。
平均的な家計収支を自分の状況に当てはめる際には、統計上の住居費だけでなく、実際に住まいにかかる総コストを意識することが大切です。
賃貸か持ち家かといった住まいの形態によって、老後家計の余裕度は大きく変わる可能性があることを押さえておきましょう。
