2月8日の衆院選投開票を目前に控える1月下旬。物価高で家計が圧迫される中、主要各党からは「年収の壁」の解消や消費税の減税、ガソリン税の廃止など、現役世代の負担軽減に向けた具体的な公約が出揃いました。
私たちの「手取り」に直結する消費税や社会保険料のあり方が問われています。今回は、厚生労働省の最新データなどをもとに「国民負担率46.2%」が持つ本当の意味と、なぜこれほどまでに「働いても負担が重い」と感じるのか、その制度的な仕組みを解説します。
1. 【社会保障】働き手は増えても負担は軽くならない「総人口の約3割が65歳以上」
日本の人口構造はいま、大きな転換点を迎えています。2026年1月時点の推計では、総人口の減少が続く一方で、65歳以上の高齢者が占める割合は約3割に達しています。
かつては「支える側」と「支えられる側」のバランスが保たれていましたが、現在は女性や高齢者の就業が進み、働く人(支える側)を増やしてカバーしようとしています。しかし、その努力を上回るスピードで高齢化が進んでいるのが現実です。
1.1 社会保障「生涯を通じた支え合い」のしくみ
私たちは生まれた瞬間から老後に至るまで、医療や年金、介護など様々な場面で制度に関わっています。しかし、人口構造の変化は、この「支え合いの虹」を維持するためのコスト構造を劇的に変えることになります。
2. 【国民負担率46.2%】半世紀で負担は約2倍!国民全体の「所得の半分近く」が徴収される?
高齢化が進むと、私たちの家計にどのような影響が出るのでしょうか。その指標となるのが、所得に対して税金と社会保険料がどれくらい占めるかを示す「国民負担率」です。
昭和45年(1970年)度の国民負担率は24.3%でしたが、令和7年(2025年)度の見通しでは46.2%に達しています。これは、「国民全体の所得のうち、半分近くが税金や社会保険料として徴収されている」計算になります。
1970年代と比べ、税金以上に、社会保険料の負担が分厚くなっていることがわかります。給与明細を見て「引かれる額が増えた」と感じるのは個人の感覚ではなく、この半世紀で起きた社会構造の変化そのものだと考えられます。
3. 【社会保障】社会保険料82.2兆円!何に使われている?
では、集められたお金は何に使われ、どう賄われているのでしょうか。2025年度の予算ベースでの現状を見てみましょう。
まず使い道(給付)ですが、社会保障給付費の約44%が「年金」、約31%が「医療」に使われています。高齢化に伴い、この2大分野への支出が圧倒的に大きいことがわかります。
そして特に注目すべきは、そのお金の集め方(負担)です。 なんと、全体の約6割(59.8%)にあたる「82.2兆円」もの巨額が、私たちが支払う「保険料」によって賄われているのです。残りの約4割は税金(公費)ですが、それを遥かに上回る金額が、毎月の給与天引きなどを通じて徴収されています。
つまり、医療や年金のコストが増えれば増えるほど、この「82兆円」という巨大な保険料負担がさらに膨らみ、現役世代の手取りをダイレクトに圧迫する構造にあるのです。もちろん、現在の高齢者世代も過去に負担をしてきており、私たちもいずれは支えられる側になります。これは政策の良し悪しというよりも、世界でも類を見ないスピードで進む少子高齢化に対して、これまでの仕組みのままでは対応が難しくなっている、という構造的な要因が大きいのです。
4. 【社会保障】現役世代に負担が集中!給付と負担の構造
国民負担率の上昇を、もう少し身近な視点で見てみましょう。厚生労働省の資料「ライフサイクルでみた社会保険及び保育・教育等サービスの給付と負担のイメージ」は、人の一生を通じて、どの時期に「給付」を受け、どの時期に「負担」を担っているのかを示したものです。
これによると、人生の初期である幼少期には、出産・育児支援や保育、義務教育などを中心に「給付」が多いことがわかります。また、高齢期には老齢年金や医療、介護といった給付が大きくなります。
一方で、20代後半から50代にかけての働き盛りの時期は、給付よりも負担が大きく上回る期間が長く続きます。この時期には、所得税や住民税に加え、健康保険料や厚生年金保険料といった社会保険料の負担が継続的に発生します。図では、現役世代の期間にわたって、負担が積み重なっていく様子が示されています。
さらに、子育て世代にあたる年代では、日々の生活費に加えて、保育料や教育費といった支出も重なります。その中で税や社会保険料を負担するため、「収入はあるのに、手元に残りにくい」と感じる人が少なくない背景がうかがえます。
このように、社会保障制度は人生全体で見れば支え合いの仕組みですが、特に現役世代の期間に、負担が集中しやすい構造になっていることが、ライフサイクルの視点から見えてきます。
5. まとめにかえて
今回は、2026年の最新データをもとに、働いても負担が重いと感じる「国民負担率」の構造について解説しました。 「頑張って働いているのに、なぜか生活が楽にならない」。そう感じる方もいるのは、社会全体の構造が大きく変化していることの影響もあります。
人口構造が変われば、当然、私たちにかかる負担の形も変わります。しかし、仕組みを知れば、「なぜ引かれるのか」という漠然とした不安は解消できるはずです。その上で、自分たちの家計を守っていくか。選挙での一票も、家計の見直しも、まずは「知る」ことが最初の一歩です。これからの時代を賢く生き抜くために、ぜひ今回の知識を役立ててくださいね。





