総務省の家計調査によると、老齢年金で暮らす標準的な65歳以上の単身無職世帯では、毎月約2.8万円が不足しており、貯蓄を切り崩す生活が常態化しています。

つい先日、2026年1月23日、2026年度の年金額改定が公表されました。物価高の影響で4年連続の増額となりますが、実際にはマクロ経済スライドによる調整により、生活実感としての「ゆとり」には届かないのが現状です。

老後の生活を安定させるための一つの目安として「月額15万円」の収入が考えられますが、ここから社会保険料や税金が天引きされるため、額面が15万円でも手元に残る金額はさらに少なくなります。

では、実際に年金を「額面15万円以上」受け取っている人は、どのくらいの割合で存在するのでしょうか。厚生労働省の一次資料をもとに、最新の改定状況も交えながら、シニア世代の受給実態を詳しく見ていきます。

1. 日本の公的年金制度、その基本を解説

日本の公的年金は、基礎となる「国民年金」と、その上乗せ部分である「厚生年金」で構成されており、一般的に「2階建て構造」と呼ばれています。

ここでは、それぞれの年金制度の基本的な仕組みについて解説します。

1.1 国民年金と厚生年金による「2階建て構造」とは

【1階部分】国民年金(基礎年金)

  • 加入対象者: 日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が原則として加入します。
  • 保険料: 金額は一律で、年度ごとに見直されます。(※1)
  • 受給できる年金額: 保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取れます。未納期間がある場合は、その期間に応じて年金額が減額されます。(※2)

※1 2025年度の国民年金保険料は月額1万7510円です。
※2 2025年度における老齢基礎年金の満額は、月額6万9308円です。

【2階部分】厚生年金

  • 加入対象者: 会社員や公務員のほか、一定の要件を満たすパートタイマーなどが国民年金に加えて加入します。(※3)
  • 保険料: 毎月の給与や賞与といった収入に応じて金額が決定されます。(上限あり)(※4)
  • 受給できる年金額: 加入していた期間や納めた保険料の総額によって、個人ごとに異なります。

このように、厚生年金は国民年金の上乗せ部分として機能します。二つの制度は加入対象者や保険料の決まり方、将来の受給額の計算方法に違いがあります。

この違いが、老後に受け取る年金額に個人差が生まれる理由です。

また、公的年金の額は、物価や現役世代の賃金の変動に合わせて毎年改定される仕組みになっている点も知っておきましょう。

※3 特定適用事業所とは、厚生年金保険の被保険者数が常時51人以上となる企業などを指します。
※4 厚生年金保険料は、標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を乗じて算出されます。