2. 年金額は増えても実質「目減り」する理由とは?マクロ経済スライドの仕組みを解説
年金額は物価や賃金の変動に応じて毎年見直されますが、物価の上昇分がそのまま年金額に反映されるわけではありません。
背景には、現役世代の負担を考慮しつつ、将来にわたって年金制度を維持するための「調整の仕組み」が存在します。
2.1 2026年度の年金額改定、物価上昇に賃金の伸びが追いつかない背景
2026年度(令和8年度)の年金額改定で基準とされた指標は、以下の通りです。
- 物価変動率:+3.2%(2025年実績)
- 名目賃金変動率:+2.1%
(計算式:物価変動率+3.2% + 実質賃金変動率▲1.1% ※直近3年度平均)
今回の改定では、物価の伸び(+3.2%)が賃金の伸び(+2.1%)を上回りました。
このような場合、法律の規定により、伸び率が低い方の「名目賃金変動率」を基準に改定率が決定されます。
2.2 年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」による調整とは
さらに、算出された改定率から「マクロ経済スライド」による調整が行われます。2026年度の調整率は▲0.2%でした。
※マクロ経済スライドとは
公的年金の加入者数の減少や平均余命の伸びといった社会情勢の変化を反映させ、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。
原則として、物価や賃金が上昇する局面で発動され、改定率から一定の調整率が差し引かれます。
結果として、名目上の年金額は増額されるものの、その伸び率(1.9%~2.0%)は物価上昇率(3.2%)を下回っています。
これは、実質的な購買力が低下する「目減り」状態を意味しており、将来の年金制度を維持するために避けられない調整といえます。
では、現在のシニア世代は実際にどのくらいの年金を受け取っているのでしょうか。
次章では、最新の公表資料から平均受給額を確認します。
