2026年が始まり、物価高騰が続く中で家計への負担を感じている方も多いのではないでしょうか。特に年金で生活する方にとって、日々の支出管理は重要な課題です。
こうした状況の中、公的年金を受給している方で一定の所得要件を満たす場合、年金に上乗せして「年金生活者支援給付金」を受け取ることができます。
次回の年金支給日は2026年2月13日(金)です。
この記事では、「年金生活者支援給付金」の制度内容や対象者、手続き方法について、わかりやすく解説していきます。
「初めて聞いた制度かも?」と思った方は、ご自身やご家族が支給対象となっているかをぜひ確認してみてください。
1. 老後の年金、国民年金のみだと「平均月額5万円台」
厚生労働省が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、公的年金の平均的な受給月額は、国民年金(老齢基礎年金)が約5万円台、厚生年金(国民年金を含む)が約15万円台となっています。
しかし、実際の受給額には大きな個人差があります。例えば、厚生年金を月に30万円以上受け取る方がいる一方で、国民年金と厚生年金を合わせても月額3万円に満たない方もおり、受給額は広範囲に分布しているのが実情です。
年金収入とそれ以外の所得を合計しても、国が定める基準額を下回る場合には、「年金生活者支援給付金」の対象となる可能性があります。
2. 《老齢・障害・遺族》年金本体上乗せされる「年金生活者支援給付金」制度のイロハ
年金生活者支援給付金とは、年金やその他の所得が一定の基準額に満たない年金受給者の生活を支える目的で、2019年から始まった制度です。この給付金は、2カ月に1回、通常の年金に上乗せされる形で支給されます。
給付金には、受給している年金の種類に応じて以下の3つがあり、それぞれ支給の要件や基準額が定められています。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
2.1 年金生活者支援給付金の給付基準額《2025年度:3月分まではいくらだった?》
年金生活者支援給付金の給付基準額は、例年1月下旬に厚生労働省より公表されます。
ここでは、2025年度における年金生活者支援給付金の給付基準額をおさらいしておきましょう。
【2025年度の基準額】
- 老齢年金生活者支援給付金(月額):5450円
- 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円・2級5450円
- 遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円
このうち老齢年金生活者支援給付金は、基準額を基に個々の保険料納付期間などを考慮して、実際の支給額が算出されます。
記載されている金額はすべて月額であり、実際の支給時には2カ月分がまとめて年金に加算されます。そのため、基準額通りであれば1回の支給で約1万円、年間では約6万円を受け取ることになります。
ちなみに、厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2024年3月時点での平均給付月額は、老齢年金生活者支援給付金が4014円、障害年金生活者支援給付金が5555円、遺族年金生活者支援給付金は5057円でした。
※2024年3月時点で認定されている方の平均給付月額です。
3. 《老齢・障害・遺族》年金生活者支援給付金制度の支給要件
ここでは、年金生活者支援給付金の支給要件を種類別に確認します。
「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」の場合、対象となるのは障害基礎年金または遺族基礎年金を受給しており、かつ前年の所得が479万4000円以下の方です。
この所得判定には、障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれません。また、扶養親族の人数によって所得の基準額は変動します。
一方、「老齢年金生活者支援給付金」は、所得以外にもいくつかの要件が設けられています。
3.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給対象となる条件
老齢年金生活者支援給付金は、以下の要件をすべて満たす方が対象です。
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
- 同じ世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金などの収入とその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下である
老齢年金生活者支援給付金の所得判定においても、障害年金や遺族年金などの非課税収入は計算に含まれません。
また、所得基準をわずかに超える方との公平性を保つため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という仕組みも用意されています。
補足的老齢年金生活者支援給付金について
前年の所得合計額が基準額を上回るものの、昭和31年4月2日以降生まれの方で90万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方で90万6700円以下の場合には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
この給付金は、所得額に応じて支給額が調整される仕組みになっています。
4. 年金生活者支援給付金制度の「手続き方法」をカンタン整理
年金生活者支援給付金は、自動的に支給されるものではなく、受け取るためには請求手続きが必要です。
すでに年金を受け取っている方で、所得の減少などにより新たに対象となった場合、毎年9月1日から順次「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が日本年金機構から送られてきます。
4.1 毎年9月以降に届く「緑の封筒」とは?年金受給中の人の手続き
※すでに年金を受給している方でも、繰上げ受給を選択している場合は書類の形式が異なることがあります。
これから65歳になる方には、誕生日の3カ月前を目安に、老齢基礎年金の請求書類とあわせて給付金の請求書が送付されます。必要事項を記入の上、老齢基礎年金の請求書と一緒に提出してください。
4.2 申請手続きは毎年必要なのか
この給付金は、一度申請して承認されれば、支給要件を満たし続ける限り、翌年以降は手続きをしなくても継続して受け取ることができます。
継続して支給されるかどうかの判定は、前年の所得に基づいて行われ、その結果は毎年10月分(12月支給)から1年間適用されます。もし対象から外れた場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。
毎年度の支給額については、毎年6月上旬頃に送付される「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」や「年金生活者支援給付金 振込通知書」で確認が可能です。
5. 2025年に成立した年金制度改正のポイント
2025年6月13日には、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決・成立しました。
この法改正は、働き方や生活様式の多様化に対応できる年金制度を構築することを目的としています。さらに、私的年金制度の充実や所得の再分配機能を強化し、高齢者層の生活の安定を目指すことも重要な狙いです。
今回の改正における主な内容を見ていきましょう。
5.1 主な改正内容について
社会保険の適用範囲の拡大
- 中小企業で働くパートタイマーなどの短時間労働者も、厚生年金や健康保険に加入しやすくなり、将来の年金額増加といった恩恵を受けられるようになります。
在職老齢年金制度の変更
- 年金を受け取りながら働く高齢者の年金が減額されにくくなることで、就労意欲の向上を後押しします。
遺族年金制度の改正
- 遺族厚生年金における男女間の差をなくし、子どもが遺族基礎年金を受け取りやすくなるよう見直されます。
保険料・年金額計算の基準となる標準報酬月額の上限改定
- 高所得者が自身の賃金に応じた保険料を納め、それに見合った年金を受け取れる仕組みが強化されます。
その他の変更点
- 子の加算や脱退一時金の見直し、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入できる年齢の上限引き上げなど、私的年金制度もより充実します。
これらの改正点を見ると、公的年金制度が単に老後の生活を支えるだけでなく、現役世代の働き方やキャリア形成にも密接に関わっていることが理解できます。
6. まとめにかえて
年金生活者支援給付金は、一度手続きをすれば要件を満たす限り継続的に受給できますが、世帯の状況や所得に変化があった場合には注意が必要です。
公的年金だけでなく、私的年金も活用しやすくなることで、物価上昇が続く現代において家計の選択肢はより一層広がることが期待されます。
これからの社会保障制度は、多様な生き方に合わせて見直されていくため、常に最新の情報を自ら確認していくことが大切になります。
2026年を安心して過ごすためにも、まずはご自身の年金受給状況を確認し、公的な支援と自己準備のバランスを考慮した資金計画を立ててみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内(令和7年度版)」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 総務省「個人住民税」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
- LIMO「【国の給付金】2月13日【いつもの年金にプラスで支給される人】とは?年金生活者支援給付金のイロハ 」
マネー編集部社会保障班





